劇場公開日 2020年7月17日

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「図書館が民主主義と命を守っている」パブリック 図書館の奇跡 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5図書館が民主主義と命を守っている

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「図書館は民主主義を守る最後の砦」という台詞にぐっと来る。図書館は、だれもが情報にアクセスできる自由を保証する。移民によって発展してきたアメリカでは、言葉を学んだり、知識を得たりするために図書館は大きな役割を果たしてきた。その図書館が、今全米でホームレスたちのたまり場となっている。そして、行き場のないホームレスの生命を守る最後の砦になっていることが本作では描かれている。
大寒波に襲われた街で、ホームレスのシェルターも全く足りない状況で、行く宛のないホームレスたちが図書館を占拠する。今追い出されたら寒さで死んでしまうという状況で、図書館司書たちは彼らとともに図書館に立てこもる。検察は法を執行しようと彼らを追い出そうとする。
表現の自由や情報アクセスの自由を守るだけでなく、図書館は今、貧困で家を無くした人々の命をも守っている。タイトルの「パブリック」のあるべき形がここには描かれている。

杉本穂高