劇場公開日 2020年9月18日

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「暴力に抗い絶望的な現実に立ち向かう逞しい母性に戦慄させられる重量級サスペンス」ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0暴力に抗い絶望的な現実に立ち向かう逞しい母性に戦慄させられる重量級サスペンス

2020年10月18日
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鑑賞方法:映画館

看護師のジョンヨンは行方不明になった息子ユンスを夫と探し続けて6年。藁にもすがる思いで情報を求める2人に容赦なく襲いかかる更なる悲劇に打ちひしがれるジョンヨンの携帯に郊外の釣り場でユンスに似た男の子を見つけたとの連絡が。すぐに釣り場に向かったジョンヨンに釣り場を経営する家族はそんな子供は知らないと告げる。諦めきれないジョンヨンは釣り場の周囲を窺うがそこにはただならぬ怪しさが漂っていた。

覚悟はしていましたが、これでもかとジョンヨンに降りかかる不条理極まりない試練の連打に身の毛がよだちました。とりわけ救いがないのがワラワラと現れる血も涙もない悪党達がチラッと見せる良心と、市井の人々が衒いもなく顕にする一点の曇りもない悪意。世界は善悪で二分できるほど単純ではないことをまざまざと見せつけられて打ちひしがれます。小さな世界を支配する暴力に全力で抗った果てにこじ開けた夜明けに横たわる現実にタコ殴りにされてもなお立ち上がるジョンヨンに、『母なる証明』にも滲んでいた逞しい母性を見て戦慄しました。

『親切なクムジャさん』以来14年ぶりの映画出演だというイ・ヨンエの迫真の演技が作品の肝ですが、ユ・ジェミョン演じる漁村を仕切る警察官ホンが醸す狂気が本作にくっきりとしたコントラストをつけていて韓流演技陣のスキルの高さに身震いさせられます。

よね