劇場公開日 2020年8月7日

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「とても心に響いた作品」ハニーボーイ 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0とても心に響いた作品

2022年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

DVD鑑賞
きれいなキービジュが印象的な作品。
気がついたら劇場公開が終わっており、先日たまたまレンタル屋で見かけたので借りてきました。
頭からSFの戦闘シーンから始まって、あれ?これ違うディスクじゃないの?と面食らいました。
シャイア・ラブーフの自伝が原作って位で前情報まるでなしだったんですが、蜂蜜作って生活している家族の物語だと勝手に思ってましたよ。全然違ってました。
ノア・ジュプとシャイア・ラブーフ、それとルーカス・ヘッジズの3人で作られているようなミニマムな世界。
でもそれによって密度が強くなっているようで、芝居にも厚みがありました。
まず音楽がものすごい良くて、思いっきり好みでした。
(鑑賞直後すぐにポチりましたよ!※メディアはヴァイナル盤のみ)
音楽だけでなく、歌を挟むタイミングも選曲も良かったですね。
それと、鮮やかでクリアな色使いがすごいフィットしているんですよ。
幼少期と青年期を交互にフラッシュバックさせた作りですが、この時の色の使い分けもうまいです。
そんな中とても印象的だったのが、物語途中で雄叫びをあげる幼少期と青年期のカット。
この残酷な対比は物語に楔を打つかのように、実に効果的であったと思います。
エンドロールがまた素晴らしく、最初の写真で何だか涙が出てしまいました。
ディランの唄が全てを語っているようですよね。
愛してもらいたい子、愛し方がわからない親。大人も子供も等しく寂しく傷ついているのですね。
決して珍しくないテーマではあるのですが、その描き方がとても丁寧。色彩に音楽も相まって、とても心に響いた作品でした。

後から知ったのですが、ラブーフはこの作品の制作にあたり7年程絶縁状態だった父親に会いにいったそうです。
その再会だけでも、この作品が作られた意味があったのでは無いでしょうか。

白波