劇場公開日 2020年8月7日

  • 予告編を見る

「シャイア・ラブーフの I SHALL BE RELEASED」ハニーボーイ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シャイア・ラブーフの I SHALL BE RELEASED

2020年8月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

単純

今をときめく愛くるしい名子役のノア・ジュプと血統証付きの若手俳優ルーカス・ヘッジズがダブル主演。お騒がせ俳優のシャイア・ラブーフがどのくらい反省しているかどうかはちょっと怪しいものの、シャイア・ラブーフ自身がカウンセリングの過程で自身の半生を書いたものを基に仕上げた脚本で、みずから監督のアルマ・ハレルに持ち込んだもの。アルマ・ハレルがシャイア・ラブーフ自身が短気で依存症のステージパパ役を演じることがシャイア・ラブーフのためになると判断したらしい。
シャイア・ラブーフ自身は小さい頃にヒッピーの両親が離婚し、スタンダップコメディアンで日銭を稼いで生き延びてきた。運よくディズニーのテレビ番組に14歳から登用され、トランスフォーマーで主演するようになるが、今時の映画俳優としては学歴もなく、映画界の異端児と称される。お騒がせの原因は犯罪歴(交通違反、路上喫煙、ドラッグストアーへの不法侵入、酒を飲んで暴れるなど)と女優との浮き名。今作では現在の彼女のFKAツイッグスも重要なキャスト(シャイ・ガール)として出演している。監督のアルマ・ハレルはイスラエルアメリカン(ユダヤ人)でラブーフとは友達関係。

退役軍人で前科者でかみさんに逃げられた元大道芸人のステージパパはアルコール依存症で、短気なトラブルメーカー。道路の脇の猫の額ほどの日当たり良好な土地にちゃっかり大麻も栽培する。生活費を稼いでくれる子役の息子との濃密な関係は非常に痛々しい。乱暴なセリフや虐待シーンはノア・ジュプもPTSDにならないかと心配になる。
22歳のオーティスを演じるルーカス・ヘッジズが度々回想したり、フラッシュバックしたりするノア・ジュブのシーンが多かった。二人が暮らすピンク色の壁のモーテルやプールサイドのシーンも幻想的だった。シャイア・ラブーフ演じるピエロ🤡姿がたびたび現れる。
エンドロールに流れる、ボブ・ディランの ALL I REALLY WANT TO DO にウルっと来た。息子からすれば、I SHALL BE RELEASED なのだが。
ディラン II(セカンド)の「男らしいってわかるかい」(曲はBob Dylanの I SHALL BE RELEASED)を思い出す。
🎵男らしいってわかるかい ピエロ🤡や臆病者のことさ 俺には聞こえるんだ彼らの怯えたような泣き声が 朝日はもう昇るよ 少しずつだけどね そのとき その日こそ 自由になれるんだ🎵
 シャイア・ラブーフが幼少期の呪縛から解き放れ、父親を赦すことができれば、この映画は成功だと言えるだろう。
同年のピーナッツバターファルコンでのタイラー役もよかったので、この稀有な役者を今後も見守って応援していきたいと思う。

カールⅢ世