劇場公開日 2020年9月18日

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「返すためのどんでんを作りこんでみた」TENET テネット saitofjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0返すためのどんでんを作りこんでみた

2022年12月8日
PCから投稿

言うまでもなく映像やお話も面白いからこそ気になること。

言葉のまま"舞台転換"することで逆さに見ることもで出来ます。まさにどんでん返しがおきますが、そこが。

順行時も、どんでんのピースになる"逆行の挙動"が、不自然な伏線と逆再生の答えを繰り返して襲ってきます。"逆行"のルールは教えて貰ってるので、脳みその中でだけ"逆行"させて、不自然についての解釈を繰り返していきます。物語もスパイ映画の速度進行するため振り落とされないようにしなければいけず、分かったような分からんような。とモヤモヤが溜まっています。

そのモヤモヤが溜まりに溜まって、どんでん返し!さぞすっきりと色々分かるのだろうーと期待してると肩透かしを食らいます。逆再生しても、分かったような分からん。違う視点が見えてくるのは良いですが、見えた視点がクリアになるとは言っていない。何度も視聴すると面白いというのはまさに、その細かいピースが繋がっていくのでしょうね。ただ、それ面白い?というのが率直の感想。

脳みその負荷の原因の大半は、映像美です。変換(デコード)コストです。どちらに再生しても、順行と逆行が入り乱れてるため、単純に分かりづらい。もちろん、すごく真面目に嘘を組み立ててると映像と感覚では分かるのですが、泥臭さ節が微妙。スパイ映画でこのカッコ悪さは相性悪いよ。労力のわりにアイディア一発芸程度の感覚に襲われます。難解というよりは、混濁。

物語としては、よくよく考えれば何となくシンプルに決着されてるし、主人公に強烈な魅力があるわけでもありません。強いて言えば、主人公よりも、相棒サイドの視点で話を見てみたい感はあります。

映像美のしっちゃかめっちゃかを頭の中で整理したい人以外、引っ張る力が非常に弱い。なんだろう、すごく真面目に道筋を立てた風に見えるのに、なぜか魅力が弱い。最後は勢いで宇宙にぶん投げて放り投げちゃうのは監督の持ち味として飲み込むにしても、監督が魅せたいそれと、こちらのそれが折り合いつかない感は、過去作をさらに超えてきた。

私達の脳みそが理解しきれてないのかも?という意味ではいつもの作品。

saitofj