「法も法執行機関も完全ではない」リチャード・ジュエル Sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)
法も法執行機関も完全ではない
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映画タイトルだけの前情報のみで見たが、予想通りの内容で驚いた。
リチャードさんは法を重んじる正義漢。しかし、権力のない者が法を振りかざすと疎ましく思う。そういった心理があるからこそ、“容疑者にされる”予測がついたように思う。また、同様の心理が世間一般にもあったからこそ、人々は真偽を見なかった、または関わらなかったのだと思う。
皮肉なことに、それをリチャードさんも理解しているような描写だった。作中、ワトソン弁護士に“どうして怒らない”と叱責されるシーンがある。実際、リチャードさん自身も容疑がかかり、家宅捜索などの捜査が始まっても積極的に協力する姿勢を見せた。性格なのかもしれないが、自身も法の良い側面と悪い側面を理解していた。それでも、法や法執行機関を信じていたからこそ、冷静な対処ができていたように思う。
本作は容疑がかけられてから犯人に仕立て上げるまでの法執行機関の手口も生々しく描かれていた。どこか不条理だが、法に従い振りかざしてきたリチャードさんだからこそ、従順になるしかなった。そういった意味で、型破りなワトソン弁護士との出会いは運がよかった。
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