劇場公開日 2021年2月11日

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「初めての愛」ファーストラヴ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5初めての愛

2021年2月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

予告から、サイコパスによる犯罪かと思ったら違いました。あの「動機はそちらで見つけてください」という何度も聞いたセリフが、そういうシチュエーションで出てきた言葉だったとは…。まんまと予告に乗せられました。

とはいえ、なかなか引き込まれる作品で、見応えがありました。サスペンスものなので、ネタバレを避けるために多くは語れませんが、現実にも似たような事件が起こりうるのではないかと思いました。少なくとも、この事件の背景にあるような親子関係や男女関係で悩んでいる人は確実にいます。本作で描きたかったのは父親殺しではなく、むしろそちらのほうだったのだと思います。それゆえ、最終的には事件の真相が明らかになるのですが、最後まで胸くその悪さが残ります。

この胸くその悪さは、観客に突きつけられた課題であり、その答えのヒントは、証言台に立った小泉や由紀の夫の我聞にあるように思います。全体的に、環奈や由紀のサイドから描かれるので、見方が一方的になっている気もしますが、今の社会に一石投じるという点では、意味のある作品になっていると思います。

タイトルのファーストラヴは「初恋」ではなく、「初めての愛」だと感じました。それは異性に寄せる恋愛といった類のものではなく、自分を受け止めてくれる無償の愛であり、環奈が由紀から、由紀が我聞から感じたものがそれだったのではないかと思いました。

主要キャストは、北川景子さん、芳根京子さん、中村倫也さん、窪塚洋介さん、木村佳乃さんと、なかなかの顔ぶれです。特に芳根京子さんと窪塚洋介さんの演技が秀逸で、涙を誘います。一方、北川景子さんは、決して悪くはないのですが、「真壁由紀」より「北川景子」が前面に出て、なんとなく作品に溶け込んでないように感じてしまったのは残念なところです。

おじゃる