劇場公開日 2020年2月7日

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「シュールな世界観に浮く昭和と野蛮な匂い、小西桜子の快進撃の序章を体感」ファンシー たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0シュールな世界観に浮く昭和と野蛮な匂い、小西桜子の快進撃の序章を体感

2021年3月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

難しい

スゴくエッジを効かせようとしている映画。昭和のポルノと任侠を舞台として置くも大して機能しないという茶番さ。まあ、小西桜子の快進撃の序章を感じるに留まった1本。

古くさい街で彫師を営む鷹巣は、昼間に郵便局員として働き、詩人のペンギンのところで暇をする。そんなある日、ペンギンのファンと名乗る月夜の星が妻になりたいと転がってきて…といったところ。
ストーリーは時代にそぐわない、ファンシーそのものな感じ。どこがどう、というより全体的に感じる。出てくる奴みんなヤバい奴で理性も品もない。結局、月夜の星も頭からつま先まで常人ではないので、イカれた世界を泳ぐだけで十分。その一方、画角は割と好み。モノや影を上手く使った撮り方に個々の内面が反射するようにも写る。可笑しくて上部しか感じられない作品ではあるが、まあまあ発見や刺激はもらえた。
また、小西桜子について語りたい。今よりも棒な演技に苦しさを感じるが、ベッドシーンで見せる作中での新たな表情と埼玉出身らしいペタッとした胸に恍惚を覚える。泥船の名に恥じない、堕落した女性を体現しており、ストーリーの格を見せつける。個人的には『愛の渦』の門脇麦ほどのインパクトはあるように思えるほど。フリーの女優ということもあり、迷いなしに飛び込んだのだろうと思う。その気迫は感じられた。

奇妙と言えば聞こえはいいが、少しシュールっぽさが勝っている印象。どうも散らかっているようにしか写らない。ただ、アウトローで野蛮な匂いは嫌いじゃない。好みではあるが、作品の面白さを肯定できない作品。

たいよーさん。