劇場公開日 2020年8月14日

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「気になる俳優が出ていたので」ジェクシー! スマホを変えただけなのに うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0気になる俳優が出ていたので

2022年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アダム・ディバイン。『マイ・インターン』で、同じようなキャラの同僚役で好演していたのが印象に強く残っていました。しかし、残念ながらスケジュールの都合もあって、日本語吹き替え版しかやっていませんでした。映画の一番のポイントは主人公がひどい目に遭うほどに笑えてしまう喜劇性にあるのですが、その点どうしても吹き替え版だとノリの再現に声優さんのキャリアとか一体感が出せなくて残念な結果になる事が多いように思います。

残念さを感じることで特に多いのが、キャストが歌うシーンの吹き替えです。例えばラップを日本語に翻訳するだけでも無理があるのに、その場にいる全員がコーラスをそろえてグルーブを楽しむなんていうシチュエーションは、ほぼ吹き替え不可能でしょう。あえて部分的に字幕で対応しているドラマも見かけますよね。この映画でも、いくつかそんなシーンがありました。マイケル・ペーニャ演じる意地悪な上司が、その場にいるメンバーに「ガヤ」を演じさせるシークエンスなどです。これは後半の立場の逆転にもつながってくる重要なパートですが、日本のオフィスとのあまりの文化の違いに見ているこちらも戸惑ってしまいます。

連続ドラマでは、その役に長い期間向き合うことになります。観る方も同じ声優さんに馴染んでくるほどにドラマの本筋にのめり込んでいけるので吹き替え版が有利です。でもやっぱり単発の映画では瞬間瞬間のリアクションに面白味が凝縮されているので、吹き替えの声優さんの演技でカバーするだけでは無理があります。

これは例えばエディ・マーフィーの映画なら山寺宏一さんみたいな、馴染みの声優さんが当てはまる場合に安心して見ていられる現象で説明出来るでしょう。

話が逸れてしまいましたが、ケータイのAIが暴走して主人公が笑えないトラブルに巻き込まれていくというシニカルなコメディ。ほんのちょっと匙加減が変わっただけで、『チャイルドプレイ』のようなパニック映画に早変わりしてしまう内容です。ギリギリでコメディのなかに収まっていたのは、同情できないほどに主人公がアホ過ぎることと、トラブルの内容が生命の危機につながっていないことでしょう。あくまでもイロコイとか、昇進とかに特化しているので、まあ笑って済ませられる範囲にとどまっているのでしょう。実在するAIに、人間心理を巧みに操ることなど不可能でしょう。

それにしても下品なセリフの羅列(日本語吹き替えではチンポ、チンポと女性の声で連呼する)には閉口します。この時点で、家族といっしょには絶対に見たくない映画です。もし、大みそかの夜中とかにローカルチャンネルで放送していたりしたら、そこにいる全員に悲劇が訪れるでしょう。敢えて作り手のこだわりなのでしょうが、デートで見に来た恋人同士なんか固まってしまうのではないでしょうか。

2020.8.24

うそつきカモメ