劇場公開日 2020年9月25日

「妄想の映像化と音響が見事だけど、少し展開が分かりにくい面も。」映像研には手を出すな! yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0妄想の映像化と音響が見事だけど、少し展開が分かりにくい面も。

2020年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作はコミック版を少し読んだ程度で、ドラマ版は未見。乃木坂46に至ってはこれまで全く関心がなかったという、ないないづくしで鑑賞した観客による感想です。

英勉監督は今年に入って作品を連発していて、直近では『ぐらんぶる』に続いての鑑賞となりました。若手の俳優を起用し、作品世界に合うように演出していく手腕の見事さには今回も感心しました。

乃木坂46の主演三人も役を見事に演じきっていましたが、なるほど、ドラマ版の経験を踏まえていたんですね。特に齋藤飛鳥が素晴らしく、後から「乃木坂」で活躍している画像を見て、あまりの変貌ぶりに驚いてしまいました。

意外に音響が重要な役割を果たしており、劇中で音響担当が手腕を発揮する場面では、重低音と振動に全身が包み込まれるような感覚を覚え、これだけでも映画館で観て良かった、と実感しました。

物語は舞台となる高校の文化祭に向けた取り組みと、映像研の存亡、という二つがサスペンスとなっており、最後まで展開にほとんど緩みがないところはさすがの演出力と感心しました。マイナーな部のユニークさ(というか、この高校にはニッチな部しか存在しないのか?)、黒澤映画のオマージュなど、見所も多くて最後まで楽しませてくれます。ただ水崎ツバメと両親の関係については、原作をちょっと呼んだだけでも両者の関係はすぐに理解できるんだけど、本作単体では明らかに説明不足で(単なる見落としかなぁ?)、語りの詰めの甘さが少し残念でした。

yui