劇場公開日 2020年9月25日

「正義だからいいんだよ!」映像研には手を出すな! kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0正義だからいいんだよ!

2020年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 NHKで放映されたアニメには結構夢中になってしまったが、ドラマはつまらなそうだったので1話しか見なかった。と、それほど期待もしてなかったのですが、凄いよ、コレ。『ぐらんぶる』、『妖怪人間ベラ』、そして本作と、1ヵ月間で英作品を3本も観てしまったことになりますが、全然やっつけ仕事じゃないと感じるくらいに英監督の力量に驚いてしまいました。

 湯浅政明監督によるアニメの場合、アニメの中にアニメを描くという難しさの中で巨大で複雑な芝浜高校と彼女たちが創り上げる世界観の融合によって奇妙なリアリティを生み出していた。実写の中にアニメを入れるのは普通のようで難しそうでしたが、それ以上に高校内部の大生徒会と500近い部活動との対立が面白くて、その世界観に没入・・・撃沈。

 やはり映画館という最良の音響施設にあって、音響部一人部員の百目鬼が作る効果音が最高でした。音だけでロボットとカニが目に浮かび、映像研がそれだけで引き立ってしまう世界。金森氏の苦労をよそに、美味しい仕事をやってのけた浅草氏とツバメ。百目鬼を演ずる桜田ひよりもピッタリのキャスティングでした。

 もっと気象研究部の浜辺美波とピュー子のエピソードも楽しみたいところでしたが、これだけの続編も作れそうな雰囲気。主役の齋藤飛鳥はちょっとイメージが違ってたけど、難しい台詞をよくこなしていたと思う。

 それにしても、高校は社会の縮図じゃない!と言わせておきながら、そのまんま縮図であることの皮肉。大生徒会の下部組織が色々とあって、警備組織や校安警察など、管理社会の風刺も描いていたように思います。対抗するゲバラとか下水道部とか、興味深い部活動がいっぱいあるので、全部知りたくなってきました!

【追記(覚え書き)】2022.3
 伊藤沙莉繋がりでアニメ版映像研をチェック。齋藤飛鳥じゃなくて、伊藤沙莉をそのまま浅草氏にキャスティングすれば良かったんじゃ?などと、声質の違いがハッキリしすぎ。そして多種多様の部活動はそれほど取り上げられてない。

 ついでにTVドラマ版もチェック。根本的にコンセプトが全く違い、芝浜高校の部活動と大・生徒会のやり取りが中心にも思える。特に分裂、統合を繰り返し500近いの部活動と研究会・サークルが乱立して、生徒会内部でも実態を把握できてない状況が面白くてしょうがない。伝書鳩部、ルアー鑑賞部、ノコギリ卓球部、人面魚捜索部etc.特に野球部が内野部と外野部に分離し、統合するエピソードが笑えた。予算審議委員会に部活として認められるための作品、ガスマスク少女がメインの「そのマチェットを強く握れ!」が最高でした。

kossy