劇場公開日 2019年11月30日

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「【“備前大皿が繋ぐ人と人との絆” ”備前焼は使えば使う程、角が取れて柔らかくなる・・。”】」ハルカの陶 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【“備前大皿が繋ぐ人と人との絆” ”備前焼は使えば使う程、角が取れて柔らかくなる・・。”】

2021年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

ー 千年の歴史を誇る備前焼の大皿に魅了された若き女性の、ストイックで気難しい陶芸家に弟子入りし、夢と伝統を紡いでいくヒューマン映画。ー

■感想

・東京で働く会社員、はるか(奈緒)はある日上司の女課長と備前焼展で見た大皿に惹かれ、岡山まで足を運び、若竹修(平山浩行)に弟子入りを志願するが、拒絶されるシーンで修が言い放った言葉”アンタみたいんが、沢山来るんだ!”
ー 実際に窯元の方から同様の事をお聞きした事がある。後継者不足は深刻なのだが、長続きしない人が多いと嘆いておられた・・。映像にもあるように、厳しき世界なのであろう。ー

・粘りに粘って、漸く弟子になれた、はるかが、何度も修から”菊練り”をさせられる場面。人間国宝の榊陶人(笹野高史)の飄々とした風体と言葉。
ー 笹野高史は矢張り、良い役者である。ー

・修が気難しくなってしまった理由も徐々に判明し・・。

・窯出しのシーン。修が、釜の前で父と同じように倒れ、はるかが修から”窯出し代行”を任されるシーン。そして、はるかが釜の温度が上がらずに焦る姿と、窯変した胡麻が陶器に出来る事を求め、判断した事。
ー 失敗すれば何千万単位の損失になるのに・・。初めて修が心を開いた瞬間である。そして、遥の存在を胡散臭げに見ていた陽子も、アドバイスをしてくれる・・。ー

<陶器の映画は、ナカナカ珍しいが、東南アジアを中心に活動する末次成人監督が外連味なく、作った作品。良き風合の作品である。>

■その他
 ・焼き物に嵌ったのは30代。
 近場の常滑焼から、美濃焼、九谷焼、備前焼、そして信楽の土楽窯及び長谷園の所謂、作家モノに嵌ってしまった・・。
 増え続ける焼き物、厳しさを増す家人の視線・・。
 でもね、大皿で食べる料理は格別なんだよねえ・・。

NOBU
きりんさんのコメント
2021年4月2日

そうそう、食器は大切。器に頓着しなくなってしまうと、どこか食生活のすべてが貧しくなってしまうのですよね。
食べるだけなら鍋から手づかみでも構わないのだけれど、器とのコンビネーションで食卓がより豊かに。
もたいまさこも、一人の食卓でも器をきれいに並べ、そして箸置きを使います。
いいなぁと思います。

きりん