劇場公開日 2022年2月11日

「歴史的名作を超天才監督がリメイクするとこうなる!」ウエスト・サイド・ストーリー 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5歴史的名作を超天才監督がリメイクするとこうなる!

2022年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

萌える

元の作品への思い入れが強い人が多いので賛否両論あるのですが
しっかりと現代的な視点を取り入れた立派な映画として
私は好きです!!

ライムスター宇多丸さんの映画評論の中で
「貧しくて親もいい加減で、何も良い事が無かったトニーの人生の中で
初めての良いことがマリアとの出会い、だと思うとそれだけで泣けてくる」
と言う言葉がもう〜〜辛い!!

現在の撮影技術で、街角での群舞を観せられると
ミュージカル好きとしてはもう鳥肌ものです。
有名な「アメリカ」の掛け合いシーンも街中で撮影されており
このシーンだけで何テイク躍ったんだろう?と思うと
もうダンサーの皆さん、カメラの皆さん、ありがとう!!

もちろん、今の時代に合わせたジェンダー的な視点は完璧!
父権的な発言を繰り返す兄に対して
それに負けない意志の強いマリア(妹)やアニーター(妻)
現代的で共感出来ますね。

女性だけでなくトランズジェンダーへの配慮も出来ている。
トランスジェンダーの存在に対して「気持ち悪い」とか言わずに、
ちゃんとその存在を容認するセリフが出てくる!
さすがだな〜〜 スピルバーグ!!

それと、昨年話題になったミュージカル「イン・ザ・ハイツ」も
ラップから始まる楽曲が今風で耳に新しく素晴らしい音楽でしたが
今作は流石に、クラシックの巨匠レナード・バーンスタインの作曲だけに
弦の分厚い音が大好きな私的には格調高くて、聴いていてワクワクします。

で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

映画の冒頭から再開発で殆ど瓦礫の山の様な町の姿。
そんな町を取り合って何が嬉しいのか!
最下層の白人の意地と
移民としてこの国で頑張ってきたプエルトリカンとの
せめぎ合いの構図が浮き彫りになっていく。
貧しいもの同士の連帯がなぜ出来ない!!

貧困の連鎖を断ち切り人間らしい暮らし守るためには
民族的な対立などしている場合じゃない!
お互いに手を取り合い不公平な社会に立ち向かうべきなのに
それができない事の愚かしさ、悲しさ〜〜
愛する人と穏やかな生活を過ごしたいと言うささやかな願いさえ
ふみつぶされてしまう。
なんと言う悲しみ、なんという理不尽。

原作の持つ普遍的な主題を分かり易く描いてくれたスピルバーグ。

私は黒澤やトリュフォーには間に合わなかったけど
同じ時代にはスピルバーグがいた!!
ありがとう!スピルバーグ!!

星のナターシャnova