劇場公開日 2022年2月11日

「巨匠、さすがです。満足しました!」ウエスト・サイド・ストーリー ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0巨匠、さすがです。満足しました!

2022年2月27日
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61年版の「ウエスト・サイド物語」は小学生の頃にリバイバル上映している劇場で初めて観た思い出の映画。当時は名作のリバイバル上映をしているところが多くてよく母に連れていってもらったなぁ。

最初スピルバーグ監督がリメイクすると聞いたときは「あのスピルバーグがミュージカル?」という驚きとともに不安もあったし61年版に思い入れがあればこそ(別にリメイクしなくてもいいじゃん・・・)と思ってしまったのも事実。

だけどやっぱり素晴らしい!
61年版よりドラマ部分が深くなっているのでよりわかりやすい物語に。
ダンスはバレエ要素の強かった前作より現代的になっていてメインビジュアルになっていた足を高く上げたポーズが無かったり、みんながよくマネしていたフィンガースナップも無かったけどそれほど大きく変わったなという印象は無かったです。むしろ古典に忠実な印象でもっと斬新でも良かったのかも。
撮影技術の進歩でしょうがカメラの動きがやはり目をひいていて立体的に撮られています。あの有名なバルコニーのシーンでは特に高低差が感じられました。色も50年代ニューヨークを再現する抑えた色調と群舞をダイナミックに表現する鮮やかな色彩の使い分けがお見事。

音楽はどれも高まりますね。「マンボ」「トゥナイト」「アメリカ」などがかかれば(うん、コレコレ!)って思わず口ずさんでしまいそうになりました。61年版を観た子供(当時)の私は「I feel pretty」が一番好きだったのでいつあのシーンが出てくるのかとワクワクしていましたが、前作よりかなり後半のシーンだったので(あの曲カットされちゃったのかも)とドキドキしていました。あの曲はスピルバーグ版のあの位置が正解かな。

アニータ役のアリアナ・デボーズの存在感がとにかく凄い。「ザ・プロム」に出ていたあの子だったのねー。61年版のアニータ役だったリタ・モレノも出演していてとても重要で前作とのつながりも感じられる役で意義がありました。
結末はご存じの通り悲しいのだけれど、スピルバーグがとても丁寧に大切に作ったことが感じられる作品です。
エンドクレジットで全ナンバーがメドレーでかかり、(良いミュージカルを観たなぁ)という満足感で胸がいっぱいになりました。

ごーるどとまと