劇場公開日 2021年6月4日

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「【”Night of the Living Dead” ”ぼんやりとした夢のため、嘘で塗り固めた空虚な人生を送る哀しき女性と彼女を愛してしまった男の物語”】」猿楽町で会いましょう NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”Night of the Living Dead” ”ぼんやりとした夢のため、嘘で塗り固めた空虚な人生を送る哀しき女性と彼女を愛してしまった男の物語”】

2021年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

ー 章立てで物語は進むが、徐々に明らかになる田中ユカ(石川瑠華)の”自覚なしと思われる”数々の嘘に塗れた涙の演技と表面的な友人との関係性、被写体だったユカに惚れてしまった小山田(金子大地)のユカの嘘に気付いて行く姿・・。
 嫌な気分になるが、何故か2時間強、大スクリーンに惹きつけられる・・。ー

◆猿楽
 ・滑稽な動作や曲芸を主とする日本の古代・中世に行われていたという芸能。

■感想
・ユカに初めて会った時に小山田が来ていたTシャツにプリントされた”Night of the Living Dead”のロゴ。
 新潟から上京時に停留所で会い、同居することになった北村の部屋にも、全く同じロゴの”Night of the Living Dead”のポスター。
ー 暗喩であろうか・・。二人とも、空虚に生きるユカに一度は愛され、最後はユカを見限る・・。ー

・カメラマンとして身を立てようとする小山田の写真を一瞥し、”パッションがないんだよ!人を真剣に愛した事があるのか!”と声を上げる愚かしき髭面の編集者。
彼は、”マッサージ屋”に通い、演劇学校の学費を稼ぐために働くユカに懇願され・・
ー この男の姿やユカの姿が愚かしくも、哀しい。ユカはそこまでして、トップモデルになりたいのか・・。けれども、それが実態なのかもしれないなあ・・ー

・ユカの嘘に徐々に気づいて行くカメラマンとしてのキャリアを挙げつつある、小山田の姿。涙ながらに、嘘を付きとおすユカの姿。

<嘘で塗り固めた空っぽの人生を生きるユカ。
 “貴女はどんな人ですか?”と言う問いに答えられないユカ。
 そんな女性を愛してしまった小山田と言う男。
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 田中ユカを身体を張って演じた石川瑠華さんと小山田を演じた金子大地さんの魅力と、優れた脚本に敬意を表したい作品。>

NOBU