劇場公開日 2019年9月6日

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「この役のオファーを受けたことが凄い。」ラスト・ムービースター カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この役のオファーを受けたことが凄い。

2022年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

アマプラで鑑賞。

子供の頃大好きな役者だったバート・レイノルズだが、全盛期に何度もテレビ放送されていた「ロンゲストヤード」、「トランザム7000」、「キャノンボール」あたりは放送される度に必ず観ており、「ブギーナイツ」で久しぶりにその姿を見た時にはあまりにもおじさんになっておりビックリした事を思い出したが、本作はそれより更に20年後の映画で当たり前だが完全な白髪の老人になっており更に驚いた。

バート・レイノルズはそもそも肉体派俳優でアクションコメディ映画で世間に知られ、陽気でお気楽な男臭いタフガイ役ばかりであったため、そのイメージがあまりにも強すぎ演技派への転向が上手く出来なかった俳優という印象がある。
勝手な見方だが、ひと世代上のチャールズ・ブロンソン、ひと世代下のトム・セレックあたりもバート・レイノルズと似たような道を辿っていたように思う。
なので劇中にも実名で出てきていたロバート・デ・ニーロやジャック・ニコルソンらのアクターズスタジオ出身の俳優達とはそもそもが違うと思っている。

バート・レイノルズがこの役のオファーを受けた背景には60歳を超え晩年に差し掛かった時に出演したブギーナイツでその演技が評価されていたことに尽きると思う。
劇中の主人公ヴィックとバートの大きな違いはここであり、これこそがバートが本作に出演するための最低限のプライドであったように思う。

ヴィックは今時のぶっ飛んだ女の子リルや映画祭の主催者であるリルの兄等との交流、故郷の昔を知っている人達やかつて捨ててしまった元奥さんに会う事などで、自分自身がスターで周囲にチヤホヤされていない時に温かく迎えてくれていた人たちに対し、はじめて本当の厚意のようなものを知り、心を入れ替え謝罪し、これからの人生を更に前向きに生きようと決意する。
正直いうとありきたりな設定かもしれないが、他作品との圧倒的な違いは役者自身の経歴と劇中の設定がマルっと重なっているという事であり、ここがこの映画の唯一にして最大の生命線だと思う。

往年の映画ファンとして、鑑賞することができ本当に良かったと思わせる映画であった。
※チェビー・チェイスだって最初はわからなかったw。

カツベン二郎