劇場公開日 2019年9月27日

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「生きて行くのに不可欠でないものが…」パリに見出されたピアニスト shokotenさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生きて行くのに不可欠でないものが…

2019年11月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

一言で言ってしまえば、
シンデレラボーイの物語。
不遇な境遇から、ピアニストとして
栄光の道を歩み出すというベタな
内容かもしれないけれど、私は
もっと重要なメッセージを受け取った
気がします。
ある友人が本の虫でもある私に
本を読まなくたって死なないし。と
言われた事があります。
ふむ、確かに…妙に納得する言葉でした。
でも、生きて行くに不可欠な
物ではない物が、実は人生にとって
大切ではないかと…
悲しい時、切ない時、この世に1人だけと
思い悩む時に、音楽は答えを出しては
くれないけれど、救ってくれる
1番の特効薬だったりする。
自分が好きな音楽や美しいクラッシック
音楽が、今の状況を決して変えては
くれないけれど、心を整えてくれる。
音楽や小説や映画は、なくても
生きていける。だけれど、目には
見えない喜びや豊かさを与えてくれる。
明日へ踏み出す力になってくれる。
そんな思いを、この映画を観て
改めて感じさせられました。

彼が幼い時に、老齢のピアノ教師
ジャックに出会わず、ピアノを
知らないまま育ったら、
彼の人生は悲惨な末路だったに
違いないでしょう。

観なくても生きて行けるけれど
こういった映画と出会える事が、
この先また
思い悩む日の、心の糧になります。
こんな出会いを重ねて行けたらと
思わせてくれる作品でした。

shokoten