劇場公開日 2021年1月29日

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「おヒマなら、どうぞ」天国にちがいない pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0おヒマなら、どうぞ

2021年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カンヌでW受賞ということだが、よくわからない話だった。
というか、ストーリーなんてないのですよ。ほとんど。

そう、これは筋書きを追うというタイプの映画ではない。

セリフも少ない。主人公=監督は、ふたことしかしゃべらない(このふたことに監督の想いが込められているのだろうけれど)。

でもつまらないことはなかったなぁ。

中央に人物を配した構図、シンメトリーの要素のつよい画面、人物のシンクロする動き、奇妙な間……。
どちらかといえば、写真や現代アートのような趣です。

そのシュールな画面に展開する数々のエピソード(というよりは、ショート・イメージと言った方が正確か)。
警官や、戦車、それに武器を持った人々などは、中東や世界の不穏な空気を象徴しているのでしょうか?

そして、ユーモア。
全編にわたって感じられるチャーミングな「おかしみ」――これは主演のスレイマン監督のパーソナリティーによるところが大きいと思いますが――この「おかしみ」が、本作の大きな魅力になっています。
僕は「爆笑」よりは、こうした、ちょっとした笑いの方が好きですね。
とくにパリのカフェのシーンがおかしかった。
監督が、道ゆく女性のお尻を執拗に目で追うシーンは、BGMもあいまって、笑った。
それから、下手くそサックス奏者の「ベサメ・ムーチョ」を聴かされるところも。

理屈のとおった映画ばかりではなく、たまにはこういう、感覚を味わうような作品を観るのもよいことだと思う。

中東・パレスチナ問題にくわしければ、もっと深く体感できたのか?

万人むきではないですが、おヒマなら、どうぞ。

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peke