劇場公開日 2021年1月29日

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「『ホモ・サピエンスの涙』にも似たシュールな光景を無言で見つめるほんわかしたロードムービー」天国にちがいない よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『ホモ・サピエンスの涙』にも似たシュールな光景を無言で見つめるほんわかしたロードムービー

2021年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公は本作の監督エリア・スレイマン自身。イスラエルのナザレにある自宅を出て自身の新作映画を売り込みにパリとニューヨークに行って帰ってくるだけの話。しかしそこに映っている映像は異世界のようにシュール。隣家の果樹園からレモンを盗む男、物凄く非効率な方法で水瓶を運ぶ女、静まり返ったパリの市街をゆっくりと横切る戦車隊、ホームレスに豪華な料理を提供する救急隊、自動小銃やライフルで武装したままスーパーで買い物をするNY市民、セントラルパークで警官に取り囲まれる天使といった絶妙に奇妙な光景が次から次へと監督の目に飛び込んでくる。さりげなく友人として登場するガエル・ガルシア・ベルナルを筆頭に様々な変わった人々と出会いながらもその誰とも噛み合わない不条理がどこへ行っても繰り返されるが、そのどれもが微妙に愛らしい。邦題は原題の直訳ですが、私の祖国もイカれてるけどどこの国もイカれてるねというような意味が込められているのかなと思いました。作品トーンとしては昨年観た『ホモ・サピエンスの涙』にも似たほんわかしたユーモアに貫かれた珍品でした。

よね