「格差問題を取り上げつつエンタメに昇華」パラサイト 半地下の家族 らららさんの映画レビュー(感想・評価)
格差問題を取り上げつつエンタメに昇華
韓国ドラマ映画で演技が下手な人なんてほとんど見ないけどこの映画ももちろんそうですね。日本のドラマ映画も見習ってほしい。下手な人が混ざるとノイズになる。
映像は重厚感あって美しい。音楽も演出もいい。ストーリーは半地下やバイトも争奪戦の失業率に驚く。韓国の平均賃金は日本より高いと聞くが。しかし監督はそういった格差については「世界のどこでもある話」としている。
困窮者同士が仕事を奪い合う。バレないかヒヤヒヤさせられた。
バレたら即クビと分かってて、留守だと安心し全員で部屋を散らかすなんて油断しすぎ!と思ってしまった。
奥さんの唐突な英語に笑わされた。エリート夫に合わせるため必死で覚えた的な感じ。
「金持ちはいい人が多いね」ということで、確かに普段はマナーもよく上品でお人好し。
しかし結局、雇うもの雇われるもの運がいいもの悪いもので身分差が激しいこと、身分が低いと蔑まれ命も後回しにされるのがよくわかる。
台風が来たときの半地下生活してる人達、富裕層の暮らしの差を描いた演出に涙が。
韓国も避難所は日本同様に男女一緒に体育館につめこみ雑魚寝なんだなーとも。
しかし格差を社会問題として提起とか、泣かせるヒューマンドラマに終わらない。
ラストあたりはすっごい怖い。韓国映画って怖くグロテスクが多い。怖いけど怖すぎて涙も引っ込む。そして「身分上な人の本音」がよくわかる。瀕死の被雇用者より、ちょい気分悪くしたお坊ちゃまが優先。
怖さと笑いと悲しみと色々混ざってる。
リアルさがぶっ飛んだオチもいい。振り切れておりもはやエンタメと昇華。暗く悲しいだけじゃない。その辺でアカデミー賞も納得でした。
ただとてもヒヤヒヤする、辛い話には変わらず何度も見直す気にはならないです。