劇場公開日 2020年10月30日

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「私と同世代の人なら誰もが知っている、あの昭和最大の未解決事件がモデ...」罪の声 じょんそんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0私と同世代の人なら誰もが知っている、あの昭和最大の未解決事件がモデ...

2020年12月2日
iPhoneアプリから投稿

私と同世代の人なら誰もが知っている、あの昭和最大の未解決事件がモデル。
警察をおちょくる様な犯行声明文が連日報道され、大阪や京都そして滋賀などよく知る場所が舞台になった事件なのでとても印象に残っている。
3人の子供の声を録音した犯人からの脅迫や指示の音声テープは現実の事件でも使用された。
当時中学生だった私は、この日本初の劇場型犯罪の報道を半ば面白がって見るばかりで、犯罪に利用された自分とそれほど歳も違わないであろう子ども達の境遇に思いを馳せる事は出来なかった。
訳もわからないまま、あるいは記憶にも残らないほど幼い頃に録音された自分の声が日本を揺るがす犯罪に利用され、今もその音声データが残り続ける現実。
そしてその声の持ち主は今、私とそれほど変わらない年齢に達し、知らないうちに犯罪に加担していた事実を誰にも言えず罪の意識に苛まれながら、何処かで暮らしているかも知れない。
映画はその声の持ち主のひとりと、既に時効を過ぎたこの事件を再取材する新聞記者とが交錯することにより真相へと近付いてゆく。
静かな中にも強い意志が見える星野源さんの演技は自然体で、主張を極力消した小栗旬さんの演技も好感が持てた。
また梶芽衣子さんや宇崎竜童さんなど脇を固める俳優陣がどれも個性的で、登場人物が多いんだけど混乱することなく鑑賞できた。
とりわけもうひとりの声の主である生島聡一郎役の宇野祥平さんの演技は鬼気迫るものがあり、現実の世界にもこんな苦悩を抱きながら生活している声の主が何処かに存在しているかもと思うといたたまれない気持ちになる。
不本意に犯罪に利用された声は日本を震撼さす大事件をおこし、その声の持ち主の人生を大きく狂わせ苦しめた。
しかしその声が事件の解明につながり、大切な家族に会うきっかけになり、形見にもなった。
現実の世界でも既に時刻を過ぎた事件だけど、映画の結末のような日が訪れないとも限らない。
このような卑劣で多くの人の人生を狂わす犯罪が二度と起こらないことを只々祈る。

じょんそん