劇場公開日 2020年11月13日

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「CGも3Dプリンターも小型カメラも、何でも使ってパペットアニメーションの可能性を切り開き続けるライカの執念に脱帽する作品。」ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0CGも3Dプリンターも小型カメラも、何でも使ってパペットアニメーションの可能性を切り開き続けるライカの執念に脱帽する作品。

2020年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

至高のスタジオライカのストップモーション技術を存分に味わうなら、映画館での鑑賞ほぼ一択。そりゃ確かに人形のようなキャラクターを存分に動かすのであれば、ピクサー作品に敵うものはないけれども、ライカが目指すのは、物理的な質量を持った物体にどうやって生命を吹き込むのか、という飽くなき挑戦。しかも作品ごとにその技術レベルが、素人の眼で見ても格段に進歩し続けているのだから、本当にすごいのひと言。

今作でライカ制作の劇場長編作品は5作目だけど、一作ごとに世界をまるごと作り上げるために、広大なスタジオと多くの技術スタッフ、そして膨大な機材が必要になるとのこと。数作品のためにこれだけの手間と資金と時間を費やしていって、経営的に大丈夫なのかしら…、と要らぬ心配をしてしまうので、心から大ヒット祈願。

 パペットアニメーションに関心のある人なら劇場に何度でも足を運びたくなること間違いなしなんだけど、問題は本作のテーマと主人公を受け容れられるかどうか…。主人公は英国貴族の探検家で、貴族クラブの仲間入りを果たすという野望のために、伝説の生き物を追い求めるという、要するにかつての帝国主義宗主国を体現したような人物。その強引で自己中心的な性格と行動は、劇中でそれなりに魅力的には描かれてはいるけど、ちょっと感情移入が難しいほど。

というか、ライカもよくこんな人物を主人公に据えようと思ったなー。その媚びない姿勢もまた、ライカの魅力なのだけれども。

yui