ガーンジー島の読書会の秘密のレビュー・感想・評価
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クラシックで上質な装丁のドラマ
第二次大戦中、ドイツ軍の占領下にあったイギリスの小島を舞台にしたドラマで、冒頭で語られる読書会の由来が愉快です。ドラマの展開や当時の時代背景、美しい島の風景等、映画そのものが非常に丁寧に作られていて、主演のリリー・ジェームスのクラシックな美貌もあいまって、とてもいい感じです。真相は何となく予想できちゃうんだけど、ゆっくりとストーリーを純粋に楽しめる佳作でした。
英国の香りが漂うドラマを十分味わえました
第二次世界大戦当時のイギリス。
映像の世界観や雰囲気が、私の鑑賞意欲のツボを刺激。
期待に違わぬ「英国」の雰囲気あふれる作品で
堪能しました。
と書いてはみたものの
英国風がどんなものか、分かっているわけではありません。
森薫さんの「エマ」が英国バイブルなのはナイショです。
しかしまあ
イギリスの都会人も
島の人たちも
ドイツ人も
アメリカ人も
みんないい雰囲気を醸し出していて
島の風景からもすごくイギリスのにおいが感じられて
とても素敵な、満足できる作品でした。
たまには紅茶を飲みながら読書でも。
そんな気分になります。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
美しい奥深い映画
厳しい飢えに迫害、戦争下でいかに人間として生きぬいたのか、読書会に隠して守った人の威厳と優しさと愛情。
主人公が自身の好奇心から一つずつ紐解いていく、ミステリー調のラブロマンスでした。
映像も音楽も人も物語も本当に美しい奥深い映画でした。
ただ1つ、難を言えば主人公と婚約者の関係が悲しい。
愛と恋と友愛を混同したのでしょうが、、、完全に当て馬にされたのが;作家という設定の割には、人の心の機微にうといというか子供な主人公。
少女性が魅力にもなるのですが、もう少し大人の女性が秘密に触れることであらためて自分の生き方と向き合いなおす方が世界観にはあっていた気もします。
主演の女優がとても良かった
ドーバー海峡の小島Guernsey島を舞台にしたミステリータッチのラブストーリー。タックス・ヘイヴン(租税回避地)として有名なこの島が舞台と知り、ただそれだけの理由で鑑賞したのですが、英国映画らしい、大戦中の時代考証をしっかりと踏まえた重厚な作りで、丁寧なストーリー展開と共にとても楽しめました。拾い物のような佳作。また主演女優の方(Lily Jamesさん)は初めて拝見したのですが、なかなか華があり、作品にぴったりでした。
読書会に秘められた悲しい過去
ガーンジー島。
舌をかみそうな島の名前に 読書会の秘密?
タイトルだけでは全くお話の想像がつかなかった。
そこは、まるでおとぎ話に出てくるような建物や、いつまでもそこに
立ち尽くしていたいような心が洗われる風景に包まれるている
しかし、この美しい島にも戦争の悲しい物語があったのだ。
敵から身を守るために読書会をしていたとは、
今のようにただ読書のためだけに行うのではなく
彼らは生きるための手段だったのだ。
戦争により愛する者を失ったものは、いつまでも苦しみ
その悲しみを背負っていかねばならぬのか?
あの時あーしていればと生き残ったものはいつまでも
自分を責め辛い思いに耐えねばならぬのか?
戦争は終わってもいつまでも人々の心に重くのしかかる。
美しい映像、人、言葉。
英仏合同で作り上げられた今作。
フランス映画らしい極端に美しいロケーションや色調の中に、英国然とした衣装や街並が混ざり合って、スクリーン上には柔和かつ優美な空間が演出されていた。それだけに、ナチスドイツのあまりに無粋なこと。
役者の演技や台詞だけに頼らない映像表現は、きっと見た人全員が感じ取ることができたと思う。
主演にキャストされたのはシンデレラで一躍脚光を浴びたリリー・ジェームズ。彼女の演じる純粋で芯の強い女性には言葉にし難い魅力がある(同性には嫌われがちという悲しさ)。
今作の主人公ジュリエット・アシュトンもまさにそんな女性で、自分の美しい容姿をどこか理解しつつも、己の信念の為に泥まみれで畜産に携わる素朴さも、夜中に宿を飛び出す逞しさも備えている。
そんな彼女の周りには、いい男が多い多い。笑
ジュリエットを一途に想い、1人で旅立つ彼女を、惜しみながらも快く送り出す"お金持ち"←(重要)のマーク。
仕事のパートナーで良き理解者。長年の友として男女の垣根を超えた絆を共有するシドニー。
己の感情をずっと抱えたまま、ただ報われぬ愛情と責任を街に、子に、友に注ぎ続けるドーシー。
物語の進行上、原作小説の内容を盛り込めなかった部分もかなり多いと思うが、恋愛に関して言えばマークが不憫すぎる印象を受けた。
「もっと早く連れ帰るべきだったか?そもそも島に行かせるべきじゃなかった?」
パーティ中の描写などからも、どうしたって二人はうまくいかなかったろうなと思いつつ、ジュリエットを想い続けたマークに救いがなさすぎるし、映画の中で、彼はそんなに悪い奴じゃない。(よね?)
ドーシー役のミキール・ハースマンも素晴らしい演技を見せてくれた。
内に抱える純真な気持ちをなかなか表に出せない不器用な男を演じるのが非常にうまい。理性的な自分と感情的な自分とがせめぎ合う、表情であったり所作であったり。彼が演じるキャラクターの感情の中へ、たとえセリフが無くても、あっという間に没入してしまう。
物語自体は、いわゆる"許されざる恋"の王道で、
まず、なにがしかの共通点がある男女が出会い、惹かれ合う。
→だがその間には許されざる障害が。
→助言や手助けをしてくれる存在と共に主人公が精神的に成長
→障害を少しづつ取り除いて愛が身を結ぶ。
ポスターの謳い文句は『人生を輝かせる至高のミステリー』だったが、ラブロマンスを観に行くと思って臨んだ方がギャップは少ないのかな、と感じた。
最後に小説を原作とする映画についても少しだけ。
いわゆる「話し言葉」と「書き言葉」の違いから、セリフが妙に説明的だったり、言い回しに少し違和感があったりということが多々あるのだが、主題に文通という要素がある今作では、そこをうまく誤魔化していたなという印象を受けた。
けれど、それをするあまりキャラクターの感情が、よく言えば分かりやすく。悪く言えば単調に見えるシーンも多かった。
エリザベスの事を語る時、どのキャラも割と淡々とした口調で、朗読会の時の口調とさして変わらないように見えたのが一番そう感じた部分だ。
逆に小説原作だからこそ輝いたやりとりもある。
エリザベス、ドーシー、ドイツの兵隊(名前忘れた)が初めて3人揃って出会った時。
「安心して。彼は友達よ」
と、どっちに言ったのか。エリザベスはそう言った。
というようなシーンだ。
このたった一幕で3人の微妙な関係性を素晴らしく表現していたし、ストーリーテラーとしては、あのシーンのエリザベスの第一声はかなり気を遣うはずで、それを完璧にこなせたのは文章のプロたる小説家が作った台詞が故ではないのかな、と、思い返す。
映像も、人物も、言葉も
総じて美しいと感じる、デート向きというか、人を不幸にしない映画だった。
懐かしい顔を探して歩いてきたの
まさにジュリエットは、自分のいるべき場所に導かれてこの島にやって来た。美しい島の風景と、そこに住む人々。既視感は「ライアンの娘」か。この映画のほうが閉塞感はないが。
この話がどう落ち着くのかの戸惑いはハラハラやヒヤヒヤではなく、シンミリとホッコリしたものだった。とてもイギリスらしい、何かを乗り越えた先の幸せな話だった。
いつものことながら、邦題で「秘密」と名乗って、ミステリー仕立てのストーリーを先に匂わす。そういうアオリのセンスが好きじゃない。原題通りに「ガーンジー読書とポテトピールの会」でいいじゃないか。そこに彼らの人柄がにじみ出ているのだから。
☆☆☆★★★ ポテトパイは味がなさそうだ! でも、この作品には様々...
☆☆☆★★★
ポテトパイは味がなさそうだ!
でも、この作品には様々な素材と調味料で味が整えられていた。
それらから、しっかりと《旨味成分》を引き出したのは、監督であるマイク・ニューウェル。
決して名作…だとは思わないのだけれど。月に1本でも、こうゆう作品を観れたなら。確実に心を豊かにさせて貰える、そんな一品でした。
2019年9月20日 TOHOシネマズ/シャンテシネ2
美しい映画
風景、ファッション、人々の心全てが美しかった!リリージェームスがとにかく綺麗でした!人との出会いには悲しいこともあるけれど、良いこともある、とても美しいストーリー。また見たいなと思いました!
ジンが飲みたくなる映画
戦時中の苦し紛れの言い訳から始まったある読書会。
戦争が終わっても色々と暗い影を残す島に取材目的でやって来た作家と読書会のメンバーとの交流で秘密=戦争の爪痕を明らかにするという、ある意味反戦映画。一冊の古本から文通が始まり、人生を大きく変えるという、現代社会では到底考えられない、素敵な物語です。
まず、登場人物の持ち味が素晴らしく、誰一人欠けても物語が成立しないほど。そしてそのキャスティングの見事さ、非の打ち所がありません。私が一番好きだったのはジンを作って売っているアイソラ。鋭い感性の持ち主で?確かドーシーとジュリエットが初めて顔を合わせたときに『前世で一緒だった?』と言っていた。こんな友達が欲しい(笑)
ジンはシュニパー・ベリーで香り付けしますが、幼いキットがジュリエットの髪に小枝を挿すシーン…多分あれはジュニパーだったと思う。その髪の小枝をドーシーはそっと外して本に挟み、押し花にしておくのですが…後にジュリエットはその小枝を見つけ、その時、自分が本当に好きなのはドーシーだと気付く。だってそうよ、マークはそんな繊細さは持ち合わせてないし、それにどんな本を読むのだろう?いや、本なんか読まないかも。スクリーンからジンの香りが漂ってきそう…いや、香りを確かめたくて無性にジンが飲みたくなりました。私の2019年ベスト10に入るであろう作品です。
戦争の不条理と自分らしい人生
邦題長いなーと思っていたら、原題はもっと長かった(笑)
少し前にも『マイ・ブックショップ』という、本をテーマにした作品を見た。傾向は大分違うが、同じく、本を愛し、『物語』を必要とする人々の物語である。
イギリス領ガーンジー島、第二次世界大戦中ドイツ軍に占領され、厳しい締め付けに苦しむ中で結成された読書グループ。
戦後縁あって読書会の存在を知った女流作家ジュリエットが、島を訪れ、戦中の話を聞いていく。
読書会の一員、今は島にいない『エリザベス』を中心に話は進行していくが、彼女が物語の主体ではない。読書会のメンバー一人一人の、エリザベスとの関係や思い出を通して、戦時中の苦しみ、悲しみ、恨み、後悔。各々の物語が各々の口から語られ、ジュリエットによって一つの物語に纏められていく。
もうひとつの大きな流れが、主人公ジュリエットの人生。戦時の不条理の中でも、自らの信念を曲げなかったエリザベスの影を追う内に、本当の自分、本当の居場所、本当の愛を見つけていく、一人の女性としてのジュリエットのパーソナルな物語である。
戦争もの、自己探求、ラブロマンス。色々な表情を持つ為、一つのテーマに絞った鮮烈な印象は余り感じられないが、ドラマとしては取っ付きやすく、バランスよく作られた作品と言えるのではないか。
ジュリエットの親友かつ編集者のシドニーが、女性から見て、こんな男友達いたら最高だな!という立ち位置でいい味出していた。
タイプライターの打刻音と共に刻まれるタイトル、エンドロールのバックに流れる読書会の音声など、一捻りある演出も面白い。
あなたは最後のパンをくれる人
読書会をめぐる謎ときというよりは、
主人公ジュリエットの人生の羅針盤を
見つける物語ですね。
戦時におけるやるせない出来事や
国境を越えた人間性の理解。
人生を賭けた自分の信念を貫きかたが
胸をうちました。
幼い少女を守るために
読書会メンバーがとる行動が
人としての優しさと誇りに溢れ、
目に宿る気品が印象的で
貧しい暮らしや服装の彼らでしたが
少しも気になりませんでした。
社交界での豪華絢爛な生活や
恋人がいても、
心の拠り所を探し続けたジュリエット。
自分の信念を見つけた彼女に、
寄り添った相棒シドニーの
言葉に背中を押されたかな。
「花嫁の引渡し役は僕がやるよ。
その機会があったらね。」
美しい海岸と草原で過ごす日々や、
エリザベスとの約束を守るために
キットの父親を務めるドージーに
心を牽かれたジュリエットの決心に
心暖まりました。
最後のパンを与える彼なら
あなたをきっと幸せにしてくれる。
エリザベスもきっと応援すると
思う。
やすらぎます。
おすすめ。
戦争の悲劇から生まれる勇気と幸せ
辛く重い出来事は誰も語りたくないもの。
まるで氷の中に閉じこめられ、誰も触れないようにしていた。それを島の外からきたジュリエットによって、周りから少しずつ溶かしてゆく。
読書会創設者のエリザベスに何があったのか、島の自然や人々に触れ、その事実を知っていくことでジュリエット自身の心の氷も徐々に溶けていった。島の人々も辛い事実を知ることになるが、ジュリエットによって、氷が溶かされたことで、戦争がようやく終わったと感じたのではないか。最後のジュリエットの選択にはホッとして幸せを感じました。素敵な作品でした。
戦争が生んだ奇跡と悲劇
戦争がなければ生まれない出会い。ドイツ兵と島の住民の愛、窮乏する島の人々が分け合うことによって生まれる友情。その読書クラブがもたらしたご縁。どれも絵空事のようだけど、きっと私の知らないところで、汚ならしい戦争のなかでも、このような人々の物語が繰り広げられていたのだろうなと、しんみり。
すべて成り行きで起こった訳じゃなくて、誰かの勇気ある行動が起こしたミラクルだな。
共感部分がない
予告編チラ見だったせいか、数十年の時を経て重大な秘密が暴かれてゆく恋愛ミステリー的な作品を想像してしまった。
なんだ、たったの4~5年前のこと。しかももったいぶってラストまで隠すほどの秘密でもなく、最初から明らかにされて、そこから紡ぎ出す展開でも良かったとも思える。
大戦中、ドイツ軍占領下、などのキーワードはあるものの、それほど切羽詰まった状況にも思えないのは、島の美しい風景と島民たちのまったりした気質が影響しているからか、ドキドキ感がない。
外から来たヒロインの気持ちはわからないでもないけど、まったくもって自由奔放。この子だったらこの島に来なくても一人で勝手に前に進んでいけるよと、背中を押すまでもない行動力があるので、それほど共感する部分がない。しかも人との関わりがどれもこれも雑な描き。
結末も想像の範囲内。やっぱりなという感じで感動もない。予告編の作り云々以前に、それほどの作品ではなかった。残念。
力強い人間ドラマ
ミステリー仕立ての上質な作品である。第二次大戦後のロンドンでは復興めざましく建物は修理や新築が相次いで綺麗なペンキも塗られているが、人の心の中に残る戦争の惨禍の傷跡はまだ開いたままだ。
主人公ジュリエットもそんなひとりで、肉親を失った以上の喪失感を心の奥に隠しつつ、明るく強気に振る舞う。アメリカ兵の恋人は型にはまった幸せが望みであり、ジュリエットのうわべだけを愛し、気が利いたふうな社交界の付き合いに彼女を引き込み、その生活が幸福で楽しいものだと信じている。
いろいろなことがうまくいかない彼女のもとに、ある偶然から住所を知った男性からの手紙が届く。聞いたこともないガーンジーという島からの手紙だ。しかしそこにはどこか彼女を惹きつけるものがある。そこで彼女は浅薄で哲学のない彼氏を残してガーンジー島に出かけるのであった。
物語の設定は前半でほぼ出来上がっていて、あとはパズルのピースをはめ込むように進んでいくシーンを気軽に楽しめる。じゃがいもの皮のパイは、想像しただけでとんでもない不味さだろうし、多分体にもよくない。イギリス料理の不味さは世界的にも有名だから、そのあたりのアイロニーも感じさせる。指輪や勲章などのキーアイテムは説得力を持って登場し、使われる。主人公が無意識に予期したとおり、ガーンジー島には彼女の心に空いた穴を埋める何かがあった。
編集者のシドニーや手紙を送ってくれたドーシー、そして郵便局の少年など、魅力的な人物が登場する。それぞれの造形はよくできていて、みんなエネルギーに満ちている。多くの犠牲を払った戦争の傷を抱えつつ、それを癒やしながら前進していく彼らの姿に、ジュリエットは大変に勇気づけられ、熱が伝染るようにエネルギーが満ちてくる。原題はとても静かなイメージだが、実に力強い人間ドラマである。
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