劇場公開日 2020年8月14日

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「片想い映画ベスト3に入るかも」僕の好きな女の子 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5片想い映画ベスト3に入るかも

2020年8月23日
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予告編見て、主題歌聴いて、雰囲気めちゃめちゃ良くて、でもそういう雰囲気映画には裏切られた回数も数多くで…でも観ないと観ないとで、頭から離れないから観にいきました笑。
結果めっちゃ良かった、最近観た中で一番面白かった。良いじゃん…凄く良い◎◎
脚本も、雰囲気も、ロケーションも、キャスト全員の演技力も、始まり方から最後まで良かったし面白かった…。
加藤(渡辺大知)が片想いする美帆(奈緒)の話なんだけど…。とにかく片想いの色んなリアルが詰まっている。リアルって言葉書くと何かリアルっぽくないし、ハイハイって思われるかもしれないけど、ガチの、ガチガチの片想いだった笑。作品冒頭から、もう本当にほんまもんの片想いというか「好き」なんだなこいつは、と。寸分狂わないそれだった。人生で両想いしか味わった事ない人、もしくは恋を知らん人は分からないかもしれないけど…。LINEひとつとっても、そもそも好きな人から自分へ連絡がくることの嬉しさとか、たわいもないやり取りの嬉しさとか、相手の意味分かんない提案を全て肯定してしまう嬉しさとか、自分へ連絡してくれるって事はその時間は自分の事を思ってくれてることへの嬉しさとか、全部が一瞬にして伝わってきた。
片想いしてる時って、何でその相手に対してこんなにも弱気なんだろ。その人以外の友達とか知人に対しては明るくアハアハ笑ってアホな事してペラペラ口回って、気の利いた言動ができて、面白いキャラクターにもなれて、カッコいい事平気で出来たり、冷静になれたり、相手に嫌われないかな?なんて考えずに自分の思った事言えて行動できるのに…。ほんと恋っつーのは病気の一種というか、自分が自分じゃなくなる(でも恋してる自分も結局自分なんだけど)怖いもんなんだなと、それを全て加藤が体現してた。加藤だけじゃなく、加藤の後輩の女の子も体現してた。
そして、加藤が片想いしてる美帆も、男として見てない加藤の前では凄く自由でやんちゃで変で、でもそこも含め全てが可愛くて、加藤がその魅力に取り憑かれちゃう女の子になれるんだけど、多分片想いの人の前では結局加藤みたいになっちゃうんだろうな、というのも感じさせた。恋愛は好きになった方の負けってのはその通り過ぎてぐうの音も出ないよ。とは言え、リリーフランキーが昔言ってて私がめちゃくちゃ納得した言葉があって、「男友達・女友達ってのは成立しない。その人に対して異性としての魅力を少なからず感じていないと友達にすらならないし一緒に会ったりしないから、成立してない。その人と本当に友達になれるのは、付き合って別れて友達になれた時に、ようやく本当の友達ってのが成立する」みたいな事を言ってて、それほんとそうだなと思うから(特に私みたいな異性を異性としか見れない人間にとっちゃ笑)、美帆も加藤の事を一切意識してないってことは無かったよな…とは思う。
実際見てて、「ここで加藤がこういう行動してれば美帆は…」とか関係性を発展させられる瞬間が何度もあって、何度も加藤に乗り移りたくなった笑。加藤に私が乗り移ったら、次に加藤が目覚めた瞬間、美帆の彼氏になっといてあげられんのにな、と…笑。でも私がそれを出来る自信があるのは結局私が美帆の事を本気で好きじゃないからであって、結局当事者はめちゃくちゃ難しんだよなあ。
そんな片想いの負のループにハマってる加藤だけど、加藤と美帆の関係性は見ててほっこりするし笑えるし面白かった。友達同士としては良い関係だった。悪くないな、無くないな、とは思えた。美帆は加藤を男として意識してないけれど、自分の個展に呼んだ時に、加藤に自分の作品を見られている瞬間の照れ隠ししてるシーンは…。クリエイターとしての緊張感と友達に見られる恥ずかしさが漏れててもうそれは猛烈に可愛かった。あの加藤と美帆のシーンめっちゃめちゃ良かったなぁ…。可愛いし面白いし、加藤目線から見ても何この可愛い生き物?は?笑って思ったとおもう笑。
ほっこりやホワホワとした2人の時間のシーンもありつつ、加藤が脚本を務めた自身の体験談をちょいちょい絡めたドラマの放送を仲間と見てるシーンだったり、太賀が出て来るシーンは、片想いの苦しみと現実を突き付けられる瞬間で、周りからしてみれば大した事ないシーンだけど加藤からしてみれば何かもう闇にでも飛び込みたくなるんじゃないかってぐらい心がえぐられただろうし、一気にこの映画作品の雰囲気が変わったなと思ったシーンだった。観てるこっち側の心がざわつく雰囲気の変わり方。ある種この映画の醍醐味というか、起承転結の転の部分というか、そんな感じで…。まぁ面白い笑笑。
加藤には悪いけど、てか普通にめちゃめちゃ辛いんだけど、映画として超面白かった。仲間達を演じた俳優陣も、太賀も、演技ばか上手い。てかやっぱ太賀演技ばか上手だよね?ハンド全力も今日俺も、こないだみたムロツヨシのドラマのゲスト出演も、今回のも。まじ上手いんだけど…ずっと見てたいぐらい。その分作品にのめり込み過ぎちゃって帰ってこれなくなるけど笑。素晴らしい俳優だなぁほんと。
そしてもうこの映画と言えば前野健太の主題歌「友達じゃがまんできない」だよね…。スポッティッド配給映画か?ってぐらい、その歌をひたすらに投影したようなストーリーや内容、主人公の気持ち。んで「友達じゃがまんできない」を歌う松野泉が演じる井の頭公園のストリートミュージシャン。このキャラがまた主人公達にいじられてちょっと面白いんだけど、自分が加藤の立場になってあんな美帆みたいな子を好きになってる時に井の公であんな歌が耳に入って来た日にゃ「あああぁぁぁぁあ」って頭抱えるな絶対笑。この歌凄いて…。
この歌と、最後の方のシーンの加藤のモノローグ。これだけでもう心グッと掴まれると共に、片想いという心の病気で半狂乱になりそうです。是非とも人生の中で片想いっつーもんを少しでも体験した事のある人は観てみて欲しーなぁ。超面白いし超良い映画だと思う。出てる人みんな良いし。なんでパンフ作ってないんだよ…悲し過ぎる笑。
何もまとまってない感想だけど、
とにかく映画はおすすめしたくなる映画でした。

まつこ