劇場公開日 2020年3月6日

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「アルコールに悩む家族を描くことは大変だけど」酔うと化け物になる父がつらい chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アルコールに悩む家族を描くことは大変だけど

2020年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これまでもアルコール依存の父親、あるいは母親を描いた作品はあった  実際にはとても深刻な内容、事実がそこにはあるのだけれど、映画にしたときに依存している親の描き方はさまざまであった  この話が実話に基づいていて、この父親のために家族はやり直しのできない日々を30年送ってきたわけで、それを親子愛だのに美化はできないのも確かだ そんな父親ともそれでも一緒に暮らしてきて、幼い時の些細な喜びや嬉しさの記憶は消すこともまたできないのも確かだろう  また実際こういった境遇に暮らす子ども、きょうだいたちは決して少なくなく、耐え切れなかった母親が自死を選ぶ話も珍しくない  そういった家族をこういった形で描かれ渋川さん演じる父親の年齢に近い自分としては、職場での板挟みとか、それを自宅に持って帰れないことに共感もしているが、子どもや妻の立場からすればとても許すことのできない、いない方がいい存在に違いない
無力感・あきらめの中にある松本穂香さん、彼女だから母親と妹の間にも立つあの境遇にある一家の長女を演じられたのだと思う  スナックママの安藤玉惠さんとか、飲み仲間の宇野さん、森下さんらの無責任な取り巻きも、安定した演技だった
脚本を書かれた久馬さんは大阪吉本のコント師であり、ネタを作っている方でもあったのでそういう興味もあってみせてもらいました(3月13日 イオンシネマ和歌山にて鑑賞)

chikuhou