「ゲイですが何にも共感できない」窮鼠はチーズの夢を見る darinKさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイですが何にも共感できない
昔、山口智子と豊川悦司の出演している映画「UNDO」というものがありました。
愛しすぎて徐々におかしくなっていくという映画です。
その映画の観賞後の気分に似てます。
「で?」という感じです。
俳優さんたちに罪はないので作品に対して感想を書きます。
まず、原作の台詞のパワーワードだけ抜き出して繋げた映画でした。
映画を見た後に原作を読んだので、原作ファンではありません。
原作を読んだら、登場人物の気持ちが理解できました。
行間を読むとかそういう次元ではなく、重要なやりとりが抜けたことによって、映画では感情の移り変わりが浅すぎました。
そして女性陣の映画での描き方に悪意を感じます。
BLは大なり小なり女性を飛び道具として描く傾向がありますが、原作で夏生は恭一が言ったセリフに「今ヶ瀬はそんなやつじゃない」と言います。
ライバルとして人として認めていました。
映画では、夏生はただのゲイ を見下す女に成り果てていました。
「his」というBL映画もそうでしたが、
「男同士の恋愛だから尊い」とか「美しい」とか性別を超えた純愛だとかという感想に辟易します。
この映画だけ観たら、どう見ても周りを傷つけるだけの男の話で、純愛でもなんでもありません。
ゲイ当事者として言いたいのですが、日本のBL映画の「ゲイ至上主義」みたいなもので変なイメージばかり植え付けないで欲しい。
これはフィクションです。
といえばそれまでだけど、最悪な人間はいくら美化しても最悪だし、困難の果ての恋愛の意味を履き違えてる。
これが男女の映画だったら、
普通に最悪な話だと言われるはず。
こういう映画の描き方が一番ジェンダー差別してると感じるべきです。
原作はきちんと「ゲイとヘテロだからこその苦悩や葛藤」巻き込んだ周りへのけじめの付け方が描かれていました。
なんでしょうかね。
そんなにゲイを不幸で周りを不幸せにするものにしたいんでしょうかね。
僕はこんな登場人物、ゲイ友達にも欲しくありません。