劇場公開日 2020年9月11日

「純度の高い恋愛映画」窮鼠はチーズの夢を見る まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0純度の高い恋愛映画

2020年9月19日
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水城せとな原作の漫画を行定監督が実写化。
やっぱ行定監督の映画は雰囲気というか空気感がもう良いよね…ずっと浸ってられるあの世界観から抜けられなくなる。
大倉君演じる大伴のことを、大学時代からずっと想い続けている、成田凌演じる大学時代のサークルの後輩。探偵として働いている今ヶ瀬はたまたま大伴の嫁さんから浮気調査を依頼されて、その事を大伴に教えにやって来るところから話が始まる…。
内容的にどうなんだろうと思いながら見に行ったけど、かなり純度の濃い純愛ものだった。でもただそれだけじゃなくて、話の入り方もそうだしちょこちょこ起こる大伴を巡る嫉妬や憎悪のラブハプニング的なシーンが面白かったなぁ。ほんとに終始、雨が降ってるようなしっとりした空気感なんだけど、冷静に装ってる人達の嫉妬に狂ってる感じや、恋愛が上手くいかないイライラ、相手への疑心暗鬼なシーンが割と恋愛のリアルを描いてたような気がする。
そして大伴がとにかくモテる、めちゃくちゃモテる、性別関係無くモテる。モテる上に来るものを拒むっていう選択肢が無いから、更にモテる。そして、性別を気にはしていながら、性の行為に対してのオープンさというか(良い意味でも悪い意味でも)そこが人よりある分、今ヶ瀬を受け入れてくスピードも早かったのかなと思った。(これは行定監督がどこかでインタビューされてた内容の受け売りもちょっとあります。妙に納得した)。結局人は男とか女とか関係なく、見た目や雰囲気や一緒に居る居心地の良さや匂いや独り占めしたい感じとかが決め手になるんだよと思えて、そこも良かったなと思った。
主人公は大伴だけど、色んな人にフラフラしてしまうこの人よりも、ずっと一途な今ヶ瀬に共感したというか泣かされた。成田凌がまた良くて…この作品の為になのか減量してて線が細くて、すんごい小さい椅子に縮こまって座る姿とかが猫のようで、キャスティングが完璧過ぎた。どんどん不思議と可愛らしく見えてった。
あと個人的にはさとうほなみ…演技めっちゃうまかった笑。あんまりよく知らないけど、女ドラマーの中だったら1番演技上手いんじゃないの??こういう大学時代の知り合いとか、元カノ、いるよなぁ〜と思ったし、綺麗なのに彼氏とか意外と居なかったりする感じもリアルで、その人物を演じるの上手すぎって思った笑。

純度120%の密度の濃い恋愛映画。
必見です…。

まつこ