劇場公開日 2021年10月15日

「来年2023年の祇園祭は新選組と土方歳三で盛り上がりそうです」燃えよ剣 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5来年2023年の祇園祭は新選組と土方歳三で盛り上がりそうです

2022年11月20日
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鑑賞方法:VOD

2021年版、54年ぶりの映画化
リメイクというよりほぼ初映画化みたいなものです
というのも1966年版は、多摩時代から池田屋事件直後までしか扱っていないからです
しかも原作はあってなきがごとしなのですから

本作ではお話は原作にほぼ忠実です
原作者の司馬遼太郎もご存命なら激賞されたと思います

昨今の映画には珍しくタイトルロールがあります
キャスト、スタッフが縦書きで流れていきます
その背景のパターンが不思議な模様で、和風なのですが一体何なのかわからないのです
その謎がラストシーンで解き明かされる演出がなかなかに憎いです

土方歳三役は岡田准一
冒頭に有名な写真のままの黒い洋式軍服にザンギリ頭の姿で登場して、岡田准一が土方歳三に似ていることをまず強く印象づけます
同時にそれが回想シーンの導入部として全編を牽引させていく構成が巧みでした
これにより長い上映時間に区切りがはいり集中力が維持できる効果もありました

映像も美しく、画面が明るく鮮明です
時にレンズの味が映画的な快感をもたらします

島原の揚屋の有名な角屋の二階での大宴会シーンなど現代的な味付けの演出も、さほど気にはなりませんでした
確かに古い新選組の映画に浸ってばかりいると違和感を感じます
でもこれぐらいの感覚はあって良いものと支持します

また柴咲コウのお雪も現代的なキャラクター造形ですが、これも成功していると思います

剣戟シーン、合戦シーンどれも迫力があり嘘ぽくもなくクォリティーの高いものです

唯一不満なのは、ラストの単騎突撃シーンです
原作どおりなのですが、もはや手垢にまみれた展開なのでここは捻りをいれるか見せ方を工夫して欲しかったとは思います

とはいえ司馬遼太郎の原作ファンとしては大いに満足できる作品であると思います

司馬遼太郎記念館が大阪府東大阪市にあります
大阪難波駅から近鉄奈良線の各駅停車で15分ほどの河内小坂駅から徒歩10分ほどの住宅街にあります

原作ファンは京都ばかりでなく、ぜひこちらもお立ち寄りされるべきとお勧め致します

京都では2022年の新選組展が京都文化博物館で開催が終わったばかりです
土方歳三の写真の展示もありました

壬生寺には近藤勇の胸像があるのですが、土方歳三の胸像を建てるという話が進行中だそうです
クラウドファンディングで資金を募り、新選組結成160年の2023年池田屋騒動のあった7月16日を目標に建立する計画が進んでいるそうです
資金も目標を大幅にクリアしたそうです

来年2023年の祇園祭は新選組と土方歳三で盛り上がりそうです

あき240