劇場公開日 2021年10月15日

「新選組も土方歳三も歴史における位置はよくわからないけど、かっこよくてやたら気なる存在であることは確かだと思った。」燃えよ剣 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5新選組も土方歳三も歴史における位置はよくわからないけど、かっこよくてやたら気なる存在であることは確かだと思った。

2022年5月3日
PCから投稿

歴史の先生はよく「歴史は繰り返すから、歴史を学んで失敗しないようにしましょう。」と言うけど、新選組から学べることは”勝てば官軍負ければ賊軍”ということくらいかな?

昔から簡単に使ってきたことわざだけど、結構深い意味がありそうで、他の言い方もあるんだろうけど特に思いつかないし、正に維新の時代を表しているような気がする。

もし幕府軍が勝っていたら、新選組は仮面ライダーレベルのスーパーヒーローになっていたはずで、薩摩や長州はショッカーで、西郷や大久保、坂本龍馬なんかは、ゾル大佐、死神博士、地獄大使といったところかな?

でも実際は薩摩や長州が勝ったから逆になった。

そのせいで以前は新選組のことを、正義の維新の志士の邪魔をした悪の組織ショッカーみたいに思っていたけど、今は仮面ライダーに近かったような気がしてきた。

結局ショッカーに負けた仮面ライダーということなんじゃないのかな?

現実には必ず正義が勝つ訳でもないし、完全無欠のヒーローなどいないから、ショッカーに負けたかっこ悪い仮面ライダーというイメージが一番近いような気がする。

『燃えよ剣』の主人公の土方歳三という人は正にそういう感じがする。

原作者の司馬先生は第二次大戦を兵隊として戦って「何でこんなに愚かな国になってしまったのかわからない。昔はこうではなかったはずだ。」と言って歴史小説を書き始めたらしい。

でも自分が参加した戦争のことは、あまりに近すぎてわからなかったのか、トラウマだったのか死ぬまで書かなかった。

個人的にも司馬先生は大好きで、『燃えよ剣』も読んだし、他にもいろいろ読んだ。

だけど今考えると、結局愚かな国民になったしまったのは、司馬先生みたいな人のせいなんじゃないのかなと思う時がある。

司馬先生のせいとは言わないけど、司馬先生みたいなことを書いたり言ったりしてきた人のせいかもしれない。

『燃えよ剣』読んで土方歳三とか新選組になりたいという人はいないと思うけど、『坂の上の雲』とか『翔が如く』とか『竜馬がゆく』とか読んだら、秋山兄弟とか西郷隆盛とか坂本龍馬になりたくなると思う。

当時の世界情勢の中で、そういう人の真似をして明治維新や日露戦争みたいなことをしたいと思って、それに群衆心理が加わったら破滅的な戦争になるのは避けられないような気がする。

結局アフガニスタンでタリバンが天下をとって、タリバンをアメリカに勝たせたヒーローのストーリーが出来上がって、みんながそれを信じてしまったような感じかな?

そうすると新選組はアメリカに従って最後まで戦ったアフガニスタン政府軍みたいな位置になる。

新選組も土方歳三も歴史における位置はよくわからないけど、この映画見てかっこよくてやたら気なる存在であることは確かだと思った。

Push6700