劇場公開日 2021年10月15日

「見ごたえのある娯楽大作」燃えよ剣 ハルヒマンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0見ごたえのある娯楽大作

2021年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

前半は展開が細切れで速く、理解しにくい。土方にまつわる出来事、事実を一通り説明しておかないと全体像がつかめないのでそうしているのだろう。とはいえ、幕末史の知識をある程度持っていないと説明されても分からない。私は亡き半藤一利氏の本を数冊読んでいたのでおおよそつかめたのだが。そういう意味では後半にかけても同じで、芹沢鴨の始末や池田屋事件、孝明天皇の拉致、孝明天皇毒殺説、慶喜の大阪城から江戸への逃走、逃げずに戦っておれば勝てた可能性、等々興味深いことがらに触れられていているが映画だけでは詳細は分からない。
この映画の教訓をあえて言えば、歴史に翻弄される人間の姿だろうか。土方にそれを見るのだが、しかし、印象に残るのは「お雪さん」だった。(映画の中での設定で、実在しないと思われる。)なんともはかなく、悲しく、そして美しい。少しやつれた柴咲コウがなんとも魅力的である。こういう女性と一つになることによって生きたいと思うのか、死ぬことを厭わぬようになるのか、どっちに転ぶのだろうか。私だったら断然前者だが、土方は死に向かって突き進んだのだ。この部分は架空のことではあるが。
最後に、この映画は多くの場所でロケをしている。私がはっきりわかったのは長谷寺だった。お寺巡りを趣味にしていると、この映画に限らず、あそこだと思う瞬間がある。
最後の最後にもうひとつ、私の好みの問題だが、同じ新選組を描いた映画に「壬生義士伝」があり、こちらの方が面白い。司馬遼太郎よりも浅田次郎の視点の方が好きなのだろう。

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ハルヒマン