赤い闇 スターリンの冷たい大地でのレビュー・感想・評価
全59件中、21~40件目を表示
歴史の暗部に光を当てた作品
ネットで作品の広告を観て興味を持ち映画館へ。自分は元々ノンフィクション系の作品が好きだが、これはまさにその王道。1917年に革命が起き、翌年にソビエト社会主義連邦が成立して10数年後から物語は始まる。壮大な20世紀の社会実験が失敗に終わったことは前世紀でご存知の通りだが、実は黎明期には西側(日本含む)にもソ連を見倣う声があった。折しもニューヨークのウォール街に端を発する大恐慌が世界経済を破壊している最中、ソ連は鉱工業・農業生産共に大躍進を遂げ、日本や米欧を凌駕する急成長を見せた。その秘密を探る為、英国人ジャーナリスト・ジョーンズが単身ソ連へ向かう。そこで秘密はウクライナにあることを知り、そこへ向かう列車から急遽途中下車し、一面冬の銀世界へ降り立つが、そこで目の当たりにしたものは…
ウクライナのホロドモール(飢餓輸出)に関しては日本ではあまり注目されることはないが、特に西側諸国に関してはソ連による「ジェノサイド」であると認識されている。主に戦争映画ではノルマンディー上陸作戦やスターリングラードの戦い、ミッドウェー海戦などが取り上げられるが、この作品は戦間期に焦点を当てている点においても評価できる。途中、英国作家ジョージ・オーウェルの「動物農場」の節が登場するが、ソ連に対する最大の皮肉になっている。
もう少し
史実だという。主人公の暴く事実は残酷だが、何故住民達はあれほどの事態になってもスターリン政権に従ったのか、に迫り切れておらず、もう少し突っ込んで欲しかったところ。
そうすれば最悪の政権に唯々諾々と従う現在の日本の状況を理解するための助けにもなったというもの。
あと、列車での移動時のみに当時する謎のアバンギャルド演出はなんだったのか…?
今も変わらない話
なんか観るもんないかなと上映スケジュール漁ってるとこに
たまたま見つけて観賞
感想としては
結構淡白な内容と途中で監督変わったのか
と思うほどの不安定な描写スタイルに戸惑うも
扱うテーマは今も変わらない事過ぎて思うところは
ある映画でした
第二次大戦前の英国
政権奪取直後のヒトラーを取材した事もある
ウェールズ出身の外交顧問ガレス・ジョーンズは
世界恐慌下でも繁栄を謳うソ連のスターリンの国家運営に
疑いを持ち首相に訴えますが相手にされず
予算削減で外交顧問の任も解かれフリーランスに
なったところでソ連のことを調べはじめます
そこでヒトラーの時に世話になった記者ポールが
ちょうど今モスクワにおり会いに行きますが
その記者に会えと言われたニューヨークタイムズの
ピュリッツァー賞も取ったデュランティから
ポールは強盗に殺されたと聞き愕然とします
ガレスはヒトラーの時のようにスターリンに
取材したいと言います鼻で笑われ
1週間取ったはずのモスクワの豪華ホテルは
勝手に2泊にされているなど歓迎ムードでなく
ディランティに言われ参加した記者のパーティは
麻薬も溢れる堕落した世界でガレスは呆然とします
モスクワは確かに大都会で賑やかにやっていますが
相変わらず理由がわからないガレスはポールの同僚
エイダに委細を訪ねるとポールも同様の取材をして
殺されたのだと真相を打ち明けウクライナに
行こうとしていたと伝えます
実は母がウクライナ出身のガレスは監視をかいくぐり
ウクライナ行きの列車に乗りますがそこには食べ物を
見るだけで目の色を変える飢えた人々しかいませんでした
結局ソ連の繁栄の正体は近隣の軍事的支配地域からの
ウルトラ搾取社会でウクライナの人々は作物を全て
ソ連に奪われ何百万人と餓死者が出ていたのでした
このガレスが結構抜けた男でして
不用意にソ連のことを訪ねてはスパイとされ逃げ回ったり
○○の肉を食べちゃったときにすぐ気が付かなかったり
そもそもスターリンにすぐ取材出来ると思っていたり
コイツ大丈夫かという描写が目立ち移入しづらかったです
真実を知りたいんだろうけどポールよりいつ死んでも
おかしく無さそうです
結局ガレスはウクライナ潜入でソ連側に捕まり
実態を口外しない引換にロンドンに返されますが
「真実を公表する義務と知る権利」を守るために
結局新聞にソ連の真実を公表するのでした
観てて思ったのは
今でもソ連みたいな国はあるし
マスコミが恣意的に内容を操作してる現実は
なんら変わっていない現実に滅入るばかりです
共産主義は人民の平等と共栄を謳いますが
そんなものはどだい無理で外面ばかりよくして
中身は国民の犠牲をなんとも思わない社会です
ですが世界恐慌によって資本主義経済も大して上手く
回っていないところも現代とまるで変わってません
自助公助のバランスを取り持つのは結局
共産主義でも資本主義でも難し現実に人類社会は
未だに直面しているのです
映画としては話の展開とかテンポが不安定で
どこまでやるのかダラダラした感じで進んだり
不満もありましたがキャストは総じて雰囲気があり
ワイスピのスーパーコンボでも印象的だった
ヴァネッサ・カービーも存在感ある演技でした
あまり知られる事のなかったウクライナの悲劇
知る機会になって良いと思います
全体的に暗く重い
第二次世界大戦前夜のヨーロッパとソ連。それは暗くなるね。記者の皆さんも重い空気の中動きづらいのによくぞ行きましたというべきか。
闇と冷たい大地、その通りです。
バネッサ観れて良かったです♪
勇気ある主人公の行動は世の中にどのような影響をもたらしたんだろうか。
ウクライナにおける人為的な飢餓の事実を世に公表した勇気ある主人公の行動は、どのような影響を世の中にもたらしたんだろうかと、映画終了後に思った。
スターリンが統治方針を変更するわけないし、旧ソ連以外の国からは内政問題と片付けられただけじゃないのかなと思ったりする。
結局のところ、ジョージオーウェルの物語のきっかけになったに過ぎないとしたら、それは悲しいこと。
そして、飢饉の惨禍を隠蔽したピュリッツァー賞受賞記者が名誉を剥奪されることがないのも恥ずべきこと。
ちなみに、冒頭の豚の描写はジョージオーウェルの「動物農場」からだろうけど、この人についてうまく説明されていないから、知らないとナニコレ?となる。
主人公も最後は〇〇されちゃうし、後味はあまりよくない
ウ・ク・ラ・イ・ナ に行っちゃイヤ 💋
ホロドモールはウクライナ語で飢餓による殺害という意味。ジェノサイドということばを考えるきっかけに。
英国首相ロイド・ジョージの元私設秘書(外交顧問)であった若い優秀なジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの実話に基づいた映画。第二次世界大戦前の1933年のお話。彼はヒトラーに独占インタビューをした経験ももつ。世界的恐慌のさなかにあって、むしろ羽振りがいい(ルーブル高維持)ソ連。ドイツが再び戦争を仕掛けてくると危惧するイギリスではソ連と同盟を組んだ方が得策であると意見するものも出てくる。急激な近代化を推し進めたスターリンにもインタビューしたいとジョーンズはニューヨークタイムズのモスクワ支局長のピューリッツァー賞受賞経験のある大物記者ウォルター・デュランティーを頼って、単身モスクワに乗り込む。しかし、デュランティーは完全にスターリンに蹂躙されていた。ジョーンズがモスクワに立つ前に電話で連絡を取った友人の記者ポール・グレブは背中に4発もの銃弾を浴びて死んでいた。グレブはジョーンズと同様にソ連繁栄の秘密を取材していた。ジョーンズはデュランティーの部下のエイダ・ブルックス(ヴァネッサ・カービー)に探りを入れる。ソ連当局から日常的に監視されているエイダの口は重かったが、ジョーンズのひたむきさにこころ動かされたエイダはジョーンズに「ウ・ク・ラ・イ・ナ」とつぶやく。ウクライナ行きの汽車に乗り込んだジョーンズは彼の行動を監視する男をうまく巻いて、途中で貨物列車に滑り込む。しかし、貨物列車には異常なほど飢えた人たちがひしめきあっていた。ジョーンズがミカンをリュックから出すと異様な視線を向けてくる。ジョーンズが急いでミカンを食べ、皮を捨てると奪い合って皮を食べた。ジョーンズの母親(元・英語教師)はかつてウクライナのスターリノでウェールズ出身の実業家の孫の家庭教師をして暮らしていた経験をもつ。母との繋がりのあるスターリノ駅で降りたジョーンズはモスクワ行きの穀物を貨車に乗せる現場に出くわす。銃を持った軍人が、痩せて力の出ない民間人に重い穀物の袋を運搬させている。ジョーンズも手伝わされるが、カメラのシャッターを切らずにいられなくなったジョーンズはスパイとみなされ、発砲される。奇跡的に追跡を逃れて、凍てつく雪原をさまよい、ゴーストタウンと化した村にたどり着く。そこは極度の飢えに苦しむ生地獄だった。飢えた子供たちが歌う童謡の歌詞がすごく気持ち悪くて怖い。ジョーンズもそのうち、木の皮を食べる。母のかつて暮らした家の幻覚を見る場面に引き続き、もっともショッキングなシーンが。
主人公のガレス・ジョーンズは英国、米国の新聞にウクライナでの見聞をリリースする。すぐさま、ウォルター・デュランティーによりニューヨークタイムズでジョーンズの記事は否定される。負けていないジョーンズはニューヨークタイムズに辛辣な反論記事を展開する。英国、米国の様々な新聞に飢饉に対する記事を載せ続けるがソ連外務大臣から英国首相のロイド・ジョージに向けてジョーンズがソ連に二度と入国させない旨の通達が送られる。ロイドは「英国の経済が破綻寸前の時に勝手が過ぎる。君は一線を越えた。」と激怒したという。1935年、30歳の誕生日の前日、29歳でジョーンズは3発の銃弾を浴びて何者かによって殺されてしまう。
一刻でも早く飢饉に苦しむ人々を救いたいという彼の信念は打算で動くものたちにとっては脅威なのだ。彼の運命は実に悲しく、絶望的。ジャーナリストにはその正義が強いほど自己犠牲がつきまとう。正義の脆弱さを補うにはジャーナリストたちの結束が必要だ。ピューリッツァー賞受賞記者に騙されてはいけない。消されかけた功績に焦点を当てたこの映画は、いかに平穏な時代に、恐ろしい怪物がいつまた我々の生活、生命を脅かすかも知れないことへの警鐘であり、この、かりそめの平穏は偉人たちの屍の上に築かれたものであることを訴えている。
ジェノサイドもその認定は主権国家ごとに違ってくるという現実。同盟国どうしは認めない。第二次世界大戦以前のジェノサイドは語られないタブー。
ガレス・ジョーンズ役のジェームス・ノートンはストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語に出ていたらしいが、印象が弱い。
エイダ役のヴァネッサ・カービーはワイルド・スピード、ミッション・インポシッブルなどのハリウッド大作に出ているので、ちょっとバランスが悪い感じ。ヴァネッサ・カービーのプロフィール写真が隣の気の強い奥さんにちょっと似ていて、個人的には萌えませんでしたけど、監督、撮影監督、音楽監督の意気込みは大変評価します❗
ウクライナは未だに世界最貧困
2020年時点の中国共産党も、負けず劣らずだけどね。てのは置いといて。
結局、新聞報道ではウクライナを救えませんでしたし、ウィグルに対する弾圧を止められない現代社会、ってのもあります。つまりは。国境をまたげば報道も無力。共産党の独裁国家内で進行する悪を止める事は出来ない。
それでも声を上げ続ける事がジャーナリズム。
映画としては多少肩透かし感はあります。ソビエトの事ばかりで、世界情勢・欧州情勢に触れてませんからね。そこは不満でした。
もっと深掘りしてほしかった。
スターリン時代のウクライナ穀倉地帯での大飢餓をフリーランス記者が潜入し真相を突き止めるが表面化するまで当局からの脅迫に屈せず生き延びたのは奇跡としか言いようがない。当局は彼を泳がしたのか?独裁下ではなくても今も世論操作は存在する。真実は永遠に闇の中だろう。ナチス、スターリン、現人神を頂いた帝国の闇は時代や国を越境して現実に存在している。映画そのものはやや単調で、もっと深掘りしてほしかった。ウクライナでは作物をモスクワに搾取され農民は樹皮や人肉を食べる。子供たちの絶望歌が挿入されていたのは映画を締めた。希望は一つもない。ジョージ・オーウェルの《動物農場》との接点を初めて知りルポが無駄ではなく役に立ったことは救われる。満州潜入が失敗に終わったのは残念無念。旧大日本帝国の新たな事実が掘り起こされたかも知れないのに。
背負うのは、どっち
117本目。
何とか空席あり。
ダメもとだっただけにラッキー。
序盤は緊張感があっていいんだけど、真ん中らへんで弛むと言うか間延び。
まあ面白かったかなぁとは思うけど、要はどっちを背負って生きるのかとは考えてしまう。
近い将来の話かも
ヒトラーへの取材経験もあり、世界恐慌にあってなお繁栄を続けるソ連に疑問を抱き、その真相を追い求めるイギリスの若手記者の物語。
エンタメ要素は皆無と言って良い作品。特に派手なシーンもなく、淡々と物語が進んで行く。
粗モノクロのような映像で映し出されるウクライナの状況がとても辛い。
特にショッキングだった、子供たちの小屋でスープを食べるシーン。
予告映像でも、「何の肉だ?」と言っていたので、恐らくちゃんとした肉など無く、家の中で見つけたネズミでも捕まえて食べているんだろう。悲惨すぎる状況だ…。
なんて想像していたのだが…。
その他にも、「次の世界大戦は既に始まっている」、「真実が伝えられていない」といったセリフの数々にハッとさせられたのは私だけではないはず。
同じようなことは既に今現在起こっているのでは?
とにかく、記者魂で真実を伝えようと奔走した人物達の生き様にはグッときたと同時に、理不尽さに対する虚しさ、やるせなさも感じた作品だった。
ホロドモールのようなことが今後…どうかは分からないけど、本作は決して過去の出来事を伝えているだけの作品にはとても思えない。
隠された真実
スターリン時代のウクライナが、これ程までに大飢饉にあえいでいたとは誰も知る由はなかったであろう。これを世に知らしめた主人公、フリージャーナリストのジョーンズは29歳という若さで殺されてしまう。(一説には暗殺されたとも)しかしながら、彼が遺した功績は称賛に値する。自らの危険を試みず、実際現地を行って現実をつぶさに世界に知らしめたのは、まさにジャーナリストの鏡と言って過言ではないだろう。
ガレス・ジョーンズが戦ったのは
この8月には第二次大戦当時の映画を4本観た。「海辺の映画館 キネマの玉手箱」「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」「ジョーンの秘密」「この世の果て、数多の終焉」である。そして5本目が本作品だ。5本とも戦争映画としては異色の作品で、それぞれに戦争に対するスタンスが異なっている。
本作品ではヒトラーが首相に就任した1933年に直接本人にインタビューをしたガレス・ジョーンズという実在のジャーナリストを主人公にして、一時期彼が顧問を務めたロイド・ジョージの名前を有効に活用するなど、あらゆる手を使って真実に迫ろうとした取材の顛末を描く。
映画の語り手がジョージ・オーウェルであることは作品の後半で漸く明かされるが、これはたぶん最初から分かっていたほうが観やすいと思う。蛇足ながらジョージ・オーウェルは「1984年」という小説でスターリン(小説内では「偉大な兄弟」)をモデルとした独裁抑圧国家の惨状を描いている。本作品の主人公ジョーンズと面識があったかどうか定かではないが、全体のために個を犠牲にするファシズムやスターリニズムを嫌っていた。
KY(ケーワイ)という言葉が日本で一時流行した。その場の空気を読めないという意味で、あいつはKYだからなどと人を非難するときに使う。また空気を読めと強要することもある。テレビでも「お前、空気読めや」などと芸人が頭を叩かれるシーンを見たことがある。一般人の間でも他人のことを空気を読めないといって悪口を叩くことがあり、それを聞かされる度に違和感を覚えていた。
空気を読めないと非難されるのは何故か。そもそも空気を読むとはどういうことか。どうして空気が読めないといけないのか。空気を読めないと場を乱すと言うなら、場を乱すことがどうしていけないのか。などと理由を遡って考えていくと、全体のために個の自由や意見を抑制しろというパラダイムに行き着く。それは全体主義のパラダイムだ。問題は「場を乱すことが悪いこと」というのが全体主義の考え方であることに気づかない多くの大衆の精神性にある。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉がある。ツービートのネタで使われた言葉だが、考えてみれば恐ろしい言葉である。違法行為であっても集団のためなら許される(お咎めを受けない)という考え方だからだ。スターリンはまさに赤信号を渡った人間で、ロシア革命以前には反体制組織の資金集めのために銀行強盗を繰り返していた。銀行強盗を国家の指導者に据える国などないはずだが、全体のためにという大義名分によって犯罪者が独裁者になったのだ。
映画作品としてはジョーンズの活躍を描きたかったのか、その悲劇を伝えたかったのか、あるいはスターリン政権下での膨大な犠牲者の悲劇を伝えたかったのか、焦点がいまひとつ定まらないところが憾み(うらみ)である。しかし全体主義という大義名分を起点に考えれば、ソ連国内の人権無視や虐殺に触れないで国交を樹立したアメリカやイギリスの政策も構造は同じである。もちろん「お国のため」に数多くの犠牲者を出した日本も例外ではない。ガレス・ジョーンズが戦ったのは、世界に蔓延する全体主義のパラダイムであったのだ。
黒が強い画面
ゲームオブスローンズのベンジェンおじさんがいきなり登場してびっくりした。ベンジェンおじさん(違う)が、老境に立った主人公の記者かしら?とか思ってたけど違った。
ベンジェンおじさんは、ジョージオーウェルってゆう有名な作家で、読まれていた作品は「動物農場」ってゆう小説なんですって。全体主義とスターリニズムを皮肉った作品なんだとか。
死んだお兄ちゃんを食べて飢えを凌ぐ幼い弟妹のくだりが一番強烈だった。
そして、主人公はのちにポールのように殺されたってオチがラストにテロップで知らされます。
モスクワでの記者たちの乱痴気騒ぎ、びっくりした。
エイダは一体どこの国の人よ?社会主義のドイツ人?アメリカの外交官の娘?
モスクワで出てくるおじさんたちが見分けつかなかった。杖の人以外。
けしてみやすい作りではなかったです。
でも、知りたくて必死に食らいついたって感じ。
社会主義、共産主義がけして悪い思想だとは思わない。
ロシア革命が起きたこと自体は、そらそうだって思える。
ではそこからソ連が独裁国家みたくなって、腐敗したのかがわたしは知りたい。
ウクライナでやった非道な事をなんでやることになったのかを実感したい。
この作品を見ただけではわからなかったので
(そらそうだ)今後の課題です。
いいテーマだけにもっと期待してしまう
スターリンの経済政策の虚構を暴こうとしたジャーナリストの話。
豊かと言われていたウクライナに入って、市民が飢餓状態になっているのを目の当たりにするシーンの数々ははたしかに重い。ただ、経済政策の失敗にどうつながっているのかはわかりづらかった。しかも雪に囲まれてる地域なので、視覚的に暗い。
いや、そもそもそこにいたるまでが結構長くて退屈してしまった。人間関係ももう少し丁寧に説明してほしかったかも。
とても重要なテーマを扱っているだけに、映画としての盛り上がりがもう少しほしい。
よかった
見た日は35度くらいの暑い日で、極寒のウクライナがちょっとうらやましいほどだった。映画を見る前にお腹が空いてカツサンドを食べて満腹で、この映画を見るには寒い日にお腹を空かせたまま見ると臨場感が味わえたはずだと後悔がある。
画面がずっと薄暗くて、ちょっとウトウトした。自分がもしジャーナリストなら北朝鮮やシリアなどに行くべきではないかと考えてもみるのだが、危険すぎる場所にはやっぱり行かない方がいいに決まっている。現代のロシアではジャーナリストがよく毒を盛られたりするので、日本で本当によかった。
そんな日本でもちょっとした状況次第で飢餓が起こらないとも限らない。常に備えは怠ってはならない。スマホや通信機器が発達してくれてよかった。
主人公がヒロインに、そんなに関係ないのにキスをしようとして拒絶され、そんなにうまくいくはずないだろと思う。でも無理を押してちょっとさせてもらっていたのがリアルだ。
真実を歪め、隠蔽する世界
今の日本を思わず重ねて観てしまう。監視され、隣人に告発され、信じるべきものが信じられなくなる。個人の弱さにつけ込む国家と国家に唯々諾々と従う弱い個人。弱さは全ての崩壊をもたらす最悪の感情の一つである。
現代にも通じるテーマ。見るべき映画です
重たい内容であまり気乗りがしなかったのだけど、なんだかこの映画は見なければいけないような気がして覚悟して鑑賞しました。
ガレス・ジョーンズという実在のジャーナリストのことは今の今まで知らなかったし、このような史実も知らなかったし、彼の死後100年近く経ってこのように映画化され、そのテーマが古びていないことに驚きます。
スターリンのことは教科書で習ったぐらいで、政治犯(犯罪者じゃないのだけど)を「粛清」した恐ろしい人物という知識しかありませんでした。そのスターリン政権の下、ソ連の「穀倉地帯」と呼ばれる肥沃な土地のウクライナ地方の人たちは(当時ウクライナは独立国家ではなくソ連の一地方だった)、収穫した小麦が自分たちの食卓には上らず、すべてモスクワに持っていかれ飢えと寒さに苦しみ何百万人と死んでいったのだそうです。たった一つのみかんに目の色を変える農民たち、食べ物がなく樹皮や到底口には出せないものを食べて飢えをしのいでいたのです。
ジャーナリスト魂の塊といった主人公が命をかけて真実を伝え続け、しかし彼のミッションともいえるジャーナリズムの仕事を生涯をかけて全うできなかったこと、今、彼がこの映画の上映を知ったら喜んでくれたでしょうか。
カラー映画のはずなのに、広大なウクライナの麦畑と一面の銀世界、まるで白黒映画のようなそぎ落とされた映像がスタイリッシュでした。メガホンと撮ったのがポーランド出身の女性監督だそうで、最近の女性監督の活躍には目を見張るばかりです。
これは決して過去の話ではありません。今も繰り返される私たちに突き付けられた現代のテーマでもあります。絶対に観るべき映画です。
全59件中、21~40件目を表示