劇場公開日 2021年7月30日

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「舞台でなく映画なら」イン・ザ・ハイツ 熱帯雨林さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0舞台でなく映画なら

2021年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ブロードウェイの舞台のもともとにストーリーの起伏はなかったのだろうか。舞台なら、ストーリー自体に盛り上がりがなくても、目の前の演者からの熱気・歌の巧さに時間を共有でき、感動させられる。しかし、映画では、この時間には寝ているかも知れない出演者と今を共有しているわけではないので、観客は映画のスジにも引き込まれないと、単に舞台のときより豪華にしました・金をかけましたという流れだけではねぇ。

この映画、歌はメロディの無いラップ調が多く大したことないが、たしかにダンス場面の人数が多くて豪華。出演料に金注ぎ込んでる。でも、ダンサーが多いねぇ・踊りがピッタリ合っているねぇと感じるだけで感動まではない。舞台もこんなストーリーなら、映画化としてこれを選択したこと自体が間違い、失敗の部類に入るのではないか。評判の舞台をさらに豪華にしたら、客が呼べると判断したのかな。で、アメリカではヒットしているのかしらん。アメリカならすぐ上映が終わりそうな気がする。公開本数が限られているのに日本でも?

上でストーリーに起伏なしと書いたけれど、あの「大停電まで何日」というカウントダウン、意味あるのか?なにかすごいことが起こるのかと思ってた。結果、大したことなく拍子抜け。単にろうそくと花火の歌が出てくるだけじゃないか。たまたま一人、死んじゃうけど山場ではないし、こちら側には涙もなしで淡々と観られる。泣くにしろ怒るにしろ笑うのも、そもそも感情が動く場面の無い映画だった。あと、映画の中でニューヨークの夏の暑さも取り上げられるけど、演者のアップに全く汗が出ていないのもなぁ。プールの場面以外の屋外の場面は、冬もしくはよほど涼しい日にロケーション撮影したんだろう。大停電の室内の場面も、エアコンはないはずなのにねぇ。鑑賞中に映画に引き込まれてないと、こんなことが気になった。

熱帯雨林