劇場公開日 2019年6月14日

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「堕落」ハウス・ジャック・ビルト @Ryota_daze27さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5堕落

2019年6月15日
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笑える

怖い

知的

‪「ハウスジャックビルト」‬
‪まずこの映画の嫌な部分は主人公の話す持論が今作の世界観の中では妙な説得力を持つこと。そんな道徳・倫理観完全無視の悪趣味で苛烈な「芸術」が観客の胸中を抉る。そして、全ての非道行為を己の論理に従い芸術の域にまで昇華させようとする彼の傲慢性。

また、退出者続出というのは、グロテスクなシーンがどうこうというよりは残虐な描写や行為そのものが観る者に与える不快感・嫌悪感。それらが引き金になっているのではないだろうか。だがそればかりではなく前半ではコミカルなシーンも見られる。それはサイコスリラーの中にあるブラックユーモアと言えば聞こえはいいものの、結果を知ってしまうとこれらはとても笑えるものではなくなる。

元々主人公はサイコパスの気質があったとはいえ、一線を超えるまではそれとなく一般社会に溶け込んでいた(はず)。しかし、一線を超えたときに歯車は暴れ狂い堕落する。その結果として芸術家・Mr.洗練が誕生する。
惨いシーンとは裏腹にデビッド・ボウイの「Fame(名声)」が流れる。このコントラストもさることながら、主人公が求める名声への欲望を如実に表現している。シリアルキラーには
欠かせない要素である。劇中に起こる事件の順番は彼の思いつきであり時系列もグチャグチャ。

その中でも笑えるのは被害者の面々。一人目は初対面で車に乗せてもらっているのにもかかわらず主人公を侮辱しまくるし、二人目はあんなあやしい不審者に言いくるめられて家の中に入れちゃうし、三人目はまだしも、四人目も四人目であんなサイコ彼氏を信用しちゃう。そんな誰も彼もが女性っていうところがまたトリアー監督の意地の悪さというか笑

主張が多くハッキリとしたテーマを一つ選出するのは難しいが、圧倒的で並の外れたセンセーショナルな作品に仕上がっていることは間違いない。

まあ、本当に恐ろしくて凄まじい映画を見た。‬

@Ryota_yade27