劇場公開日 2019年8月23日

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「ヨコハマ映画祭にて」火口のふたり JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ヨコハマ映画祭にて

2020年2月9日
PCから投稿

実際、こういう映画を観るのは、初めてかもしれない。
しかし、すごく良かった。
ああいう映画って過激なラブシーンが話題になってしまうけど、それ以上のものを確実に描いてましたね、

何重にも壁があるふたりがセックスだけで、それを乗り越えようとする感じがむしろ潔くて好き。本来だったら、自分もそうしていたいし、そうありたい。
本当は逃れられない現実があるのにね。ただ、気持ちいいことがしたいっていう本能が勝っちゃうのがリアルで人間らしくて好き。だけど、もう映画で観たくはないかもしれない。せめて映画では。

これ、キャストは当時、安藤サクラと長谷川博己を考えてたみたいだけど、本当にそれで実現されてたら今頃やんばいことになってたでしょうな。両者ともに。
いや、今回の滝内さんだって最高でしたよ。もう彼女の最後の賭けで挑んだ映画ってのと重なって、劇中の直子が際立って内包的な良い演技に見えましたな。そして、結局愛する男ならどんな要望にも答えてしまう…しかし、終始けんちゃんの要望に応える直子は嬉しそうでしたなあ。

ただ、あのヤマダ電機とか映るんだけど、やっぱり映画でそれを観たいわけではない感が自分の中で、よぎっちゃう。
本当は現実を忘れるために、非現実な世界に連れてってくれる映画を見てるはずなのにさ、あんなもろ現実世界に誘われたら、ねえ。自分と比べちゃうし、、自分が弱いんですな。というか、あの海岸でのラストはきっと、観客が自分自身と向き合うために作られているし、そういう意味では、自分のリアルな生き方の幅が広がるのかも。

受賞挨拶で新井監督が、日本バカデミー賞なんて仰ってましたが、本当にその通りかもしれないな。

そうそうオープニングとかすんごい洒落てるよね、すき。

JYARI