劇場公開日 2019年1月25日

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「社会派ファンタジック・ジュブナイル、時々ホラー。チコちゃんに殺される!」ザ・マミー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0社会派ファンタジック・ジュブナイル、時々ホラー。チコちゃんに殺される!

2019年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 序盤、エストレアの通う学校で銃撃事件が起こり、学級閉鎖となる映像。もうこれだけでメキシコにおける貧困地域の凄惨な状況が理解できる。政治家たちもギャングと手を組んでいて、麻薬売買、人身売買など悪に手を染めている世界なのだ。映像も綺麗だし、汚い部分でさえファンタジーとしてとらえることができる。

 エストレアの母親はギャングに連れ去られ、多分殺されているであろうことは伝わってくるし、シャイネが手に入れたスマホの謎にも惹かれてしまう。充電長く持ちすぎだろ!とか、テレビも観ることができるとか、ホームレスな孤児たちでも『ロード・オブ・ザ・リング』を知ってるのか!などといったツッコミはこの際ナシだ。

 トラというキーワードも、仮面を被って遊んだり、トラ人形が動き出すといったファンタジーによって解決されるし、逆にミニドラゴンの謎なんてのも新たに湧き出てくる。さらに母親の囁きが怖いというより、守護神のようにも感じられ、血のような液体が流れていくところも守られてる感じがして安心できるのです。しかし、大人の汚い世界は残酷なまでにチビッコ達に襲い掛かってくる。一番小さいモロちゃんが殺されたときには泣けてくるのですが、すぐに幽霊となってエストレアを守ってくれてるかのよう。

 所々理解しにくいところがもったいないとも感じた。教室の女の子が渡してくれたチョークだとか、三つの願いだとか、スマホの電源入れっぱなしじゃ見つかってしまうだろうとか・・・一番理解できなかったのが邦題ザ・マミー。定冠詞が付けばmummy(ミイラ)のような気がするし、てっきりそっちのホラーかと思ってた・・・

kossy