劇場公開日 2019年6月7日

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「美女と野獣に次ぐ正統な実写化だが、惜しい点も」アラジン 東尾和哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5美女と野獣に次ぐ正統な実写化だが、惜しい点も

2020年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

ディズニー好きとして、美女と野獣の実写化を見て大いに感動し、絶対に観ようと思っていた作品。
結論から言うと、所々惜しいところはあるものの、正統な実写化作品だと思いました。
劇場鑑賞は字幕で、日本語吹き替えは歌の部分のみ色んな番組や予告、You Tubeで見て補完しています。

惜しいと思った点は下記の3つ

・日本語ホール・ニュー・ワールドの歌詞、やっぱり変
元から変だったのですが「前よりはマシ」程度にしかなってなかった。
英語の歌を日本語にする時点で無理があるとは思うのですが、メロディだけで素晴らしすぎるので、見合わない歌詞だと一気に盛り下がります。

・イアーゴやアブーがリアル過ぎて好きになれない
ここ、他の実写でも特に課題になるところだと思います。
アブーもイアーゴも、本当にただの猿と鳥。アニメでは絵だけで性格づけができるのですが、実写版はここがリアル過ぎて無理でした。
どうしてもアニメとの比較になってしまうのですが、アニメの実写版なので比較は当たり前かと思います。
とはいえここだけ変なマスコットのようなCGにするわけにもいかないと思うので、今後の工夫に期待したいところ。

・新しい楽曲に魅力が少ない
良い曲ではあると思いますが、アラジンの素晴らしすぎる楽曲の数々に「良い曲程度」では蛇足です。
ホール・ニュー・ワールド以下の楽曲なんて足しても無意味だと感じました。
特に実写だと演出が過度になるので「映画で聞いたら凄い」という印象です。
普通に聞いててさほど「神曲!」とまではなりませんでした。

と、結構こき下ろしていますが、総合的に見ると他が余りにも良くて素晴らしい作品です。
アニメの印象が圧倒的すぎて、正直「ただただリメイクされただけでもう嬉しい」って感じでした。
世界観もキャストも最高で、アニメの設定を無理なく再現していました。
リトルマーメイドでは物議を醸しているようですが、こだわってアグラバーを作り上げたディズニーには感服します。

個人的にはこういったミュージカル作品は実際の言語(字幕)で観るべきだと思います。
口とも合わないし、先述した通り、意訳にならざるを得ない歌の日本語化が気になります。
もちろん日本吹き替えのキャストも素晴らしいとは感じています。歌だけが惜しい…

今後もディズニーは実写化と3D映画を作り続けていくんだろうな、と感じた作品でした。
ただただリメイクされるだけでこれほどのクオリティになる元作品の凄さも改めて感じるとともに、なるべく蛇足にならない差別化の工夫が見て取れる良作だと思います。

あずまび