劇場公開日 2019年6月28日

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「原作の一部を展開した社会派エンタメ、寡黙な日本のジャーナリズムを説く」新聞記者 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作の一部を展開した社会派エンタメ、寡黙な日本のジャーナリズムを説く

2021年3月28日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

日本のジャーナリズムは寡黙だ。不偏不党が根付く日本では、与党を批判する情報を強く流すことはない。その特異な日本のジャーナリズムと内閣官房の2つの視点から描かれた意欲作。ツッコミどころはあるが、重厚感ある作品だった。

原作は読んでいた。大学でジャーナリズムやメディアについて勉強しているので、題材に選んでみたからだ。東京新聞の望月衣塑子の半生と当時の菅官房長官との激しいやりとりの経緯を綴っている。本作は、その中でも現在に至るジャーナリズムへの問いをピックアップしていた。
東京新聞もリベラルなので、自民党が騒がれている問題に首を捻り、追求する立場である。モリカケ問題を蔑ろにしようとする政府を責めた一人が望月衣塑子である。そんな視点が入った映画。
何よりキャストの気概を感じる。主演はシム・ウンギョン。『ブルーアワーをぶっ飛ばす』の後にこの作品は撮られたそうだが、割と流暢で気にならなかった。一方の松坂桃李も素晴らしい。官房としての葛藤をヒリヒリと感じさせる。

ところどころのツッコミどころは差し引いても、良くできた作品だと思う。新しい風を開けようとする気概こそこの作品の意義ではないだろうか。

たいよーさん。