劇場公開日 2019年4月5日

  • 予告編を見る

「この映画が許される理由と時代」バイス すぷちんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この映画が許される理由と時代

2019年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

知的

VICE、つまり「悪者」。
この「悪者」として映画に存在する軍産複合体や金融マフィアに加担した陣営が、
フランス革命から始まって、各国の君主制を転覆させたり、
日本で明治維新を起こしたり真珠湾攻撃という罠を仕掛けたように、
戦争や紛争を各地で起こし、大勢に無辜の民の命を軽く扱って来たりしてきた事、それはずっと隠されてきた。

日本でもこの黒幕の正体を暴くと、
「日本人に謝りたい」の様に絶版になったり、
「マルコポーロ」のように廃刊になったりすると言われてきた。

だが、
アメリカではトランプが大統領になり、
その黒幕が跋扈してきた欧州では、
その人達によるグローバリズムが『ごく一部の人の為の権力と資金』の掌握化と分かってきて、ナショナリズムが台頭してきている。

つまり、(日本人は、未だテレビや新聞でしか情報を取らない人や、映画の最後シーンの頭の軽い女の子のように、真実を知らない人が多いようだが)
フランスのイエローベスト運動の如く、
多くの人がその真実に気付いてしまってきているから、この黒幕が弱体化している、という顕れなのだと感じた。

そうでなかったら、いくらお笑いで隠しても、こんな暴露を伴う、しかも実際の人物の名前まで出した映画はつくれないだろう。

チェイニーが入学したイェール大学はスカル&ボーンズのアジトだから、おそらく妻のリンの家系もその関係なのかもしれない。

息子ブッシュのアホさ加減が非常によく出ていて笑えたし、
其々の役柄にソックリさんの役者に、非常に楽しませて貰ったが、
実はその裏にかなりシニカルな監督の意図が見て取れる。
「アメリカの象徴」が疑似餌になっていたりと・・・

これを深いと観るか、ただ笑って観るか。

個人的には、やはり最後のシーンの女の子の存在、
これが、監督の、
日本を含めての「無関心層」への皮肉にしか見えなかった。

コメントする
すぷちん