劇場公開日 2019年2月22日

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「過酷な運命に翻弄される二人を優しく見つめるドラマ」ビール・ストリートの恋人たち よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0過酷な運命に翻弄される二人を優しく見つめるドラマ

2019年2月19日
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鑑賞方法:映画館

舞台は1970年代のニューヨーク。幼馴染から恋人同士となった22歳のファニーと19歳のティーシュ。2人は古い倉庫ビルの一角を改装して一緒に暮らすことを決めて喜んでいた矢先、ファニーは身に覚えのないレイプ容疑で逮捕されてしまう。ファニーを信じて彼の無実を証明しようと奔走するティーシュだったがある日妊娠していることを知る。

ファニーとティーシュが少しずつ心を通わせていく様を優しく見つめる物語とファニーの無実を証明しようと家族ぐるみで奮闘する物語を併行して描写する構成。2人を引き裂くことになる事件そのものは直接的には描写されず、運命に翻弄されながらもなお毅然と現実に立ち向かう2人、そして懸命に彼らを支える家族と優しく見守る友人達の姿を優しく見つめる作品。2017年のオスカー作品賞に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督は激しい人種差別を背景にした物語をあくまで柔らかい色調の映像で描写していて全編とにかく美しい。劇伴はスローなジャズがメイン、新鋭のキキ・レイン演じるティーシュがあどけない少女から妻として母として逞しく成長していく姿に寄り添うように奏でられます。

娘であるティーシュを優しく支えながら、自らもファニーの為に奔走する母シャロンを演じるレジーナ・キングの演技も見事でオスカー助演女優賞ノミネートも納得の貫禄。出番は僅かながらデイヴ・フランコ、エド・スクライン、ディエゴ・ルナが印象的な演技で脇を固めていることもあって地味な作品ながら深い印象を残す作品となっています。

原作はジェームズ・ボールドウィンの『ビールストリートに口あらば』。なんとなく聞き覚えのあるタイトルだったのでググったところ、同じ原作をマルセイユに舞台を移して描いたフランス映画『幼なじみ』があることを知りました。もう20年以上前の映画ですがいつか観てみたいです。

よね
よねさんのコメント
2019年5月4日

そうですね、私も『幼なじみ』の方がしっくりきます。

よね
U-TAさんのコメント
2019年5月3日

邦題「幼なじみ」「…口あらば」の方がいいタイトルですね
恋愛映画と思い見逃す所でした

U-TA