「ドヌーブは幾つになっても、やっぱりドヌーブだった。」ホテル・ファデットへようこそ はるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドヌーブは幾つになっても、やっぱりドヌーブだった。

2023年10月18日
PCから投稿

 人が良すぎるのは考え物だ。しかし徹頭徹尾、自分より困ったことに陥っている人に手を貸すのは悪いことじゃない。それが例え行き過ぎようが行きすぎまいが結果は大して変わらない。
 長年暮らした家族を捨て去ることを決心した中年男と極めつけの我儘を最大の武器にする中年女。フランスの片田舎の自動車修理屋とその前にあるちっぽけなホテル。村の住民は開けっ広げな性格で屈託を隠そうともせず、少々親しくなれば前後見境もなく悩みを吐露する。聞かされた方も明け透けに協力するかしないかをハッキリ言い切る。社会生活はこんな具合に成り立つのであれば、戦争など起こりはしない。
主人公二人の馴れ初めの仕方があまりにフランス的すぎて閉口してしまうが、ドヌーブならではの猫族特有の放埓さで相手の心を掴んでしまう。上から目線で男に頼み事ができるのはドヌーブならではの演技。観ている方が思わず「怒れ!」と叫んでしまうほどだ。でも、物語は彼女の思いのままに進んでしまう。やっと自由を手にした中年男はこの村で暮らし続けるためにはこれぐらいのことはやらなくては・・・と思ってか彼女言いなりに掃除をしたり食材の搬入業者に代金を建て替えたりしてしまうあたりが余りにもかわいい。
そして、そんな二人が恋する二人に変わっていくシーンが散りばめられている。それが、甘い囁きのセリフ回しでないところが気に入ってしまった。
そしてラストがとても魅力に溢れたシーンだ。
真逆のパターンではあるが、「幸せはパリで」のジャック・レモンを思い出してしまった。

はる