劇場公開日 2019年4月12日

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「依存の怖さと、父と息子の絆の深さ」ビューティフル・ボーイ yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0依存の怖さと、父と息子の絆の深さ

2019年4月13日
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鑑賞方法:映画館

それぞれの想いが胸に響いて、いろいろなことを感じながら、始まりから終わりまで、飽きることなく見入った。

父デヴィットの愛情が、本当に素晴らしく、何度もニックに裏切られても、その手を離そうとしない。諦めようとしない。
理解する為に、ドラッグを調べ、プロに話を聞き、依存症で街を彷徨っている少女に話を聞いたりする。(そのあとの行動にも驚かされる)
親だから、の一言では片付けられないような愛情と信頼。
後半、繰り返し手を出し、破滅に向かうニックを見ながら、自分には救うことなど出来ないと、ある決意を持って、ニックと話をする。
そのシーンは観ているこちらまで、苦しく、辛く、それが正しいのかも分からない不安を感じて、泣きそうにさせる。それすらも愛情だから。苦しいほどの、痛いほどの愛情。

そして、2人がどんな状況でも、堅いハグを交わす時に言う言葉「Everything」
それは、デヴィットが、幼い息子に伝えた言葉、この世の何よりも愛している、何より(anything)すら超えたすべて(everything)より愛している、I love you more than everything、から生まれた2人の合言葉ような一言
ハグとその一言に、この父と息子、双方の愛情と絆の深さが見える

それでも、ドラッグに溺れたニックには、その愛情もいっときの助けにしかならない。
途中で、ドラッグがどのような状況を脳内に起こしているかの話が出てくるのだけれど、依存症の人たちが、断ち切っても、何度も手を出して、何度も繰り返す怖さを知ることになる。
家族や愛情は必要だけれど、それだけでは、この依存を断ち切ることは出来ないのだろう。

ニックにも、デヴィットだけなく、実母のヴィッキー、再婚相手であるカレン、みんなが救い出そうとする。幼い弟妹も兄を慕い続ける。それだけ、愛情に包まれているはずなのに、彼の依存を断ち切れない。
後半、車を走らせるカレンの姿に、こちらも悔しくて、ともに泣きかけた。

yukarin