THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
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企画としては興味深い世界だが
他国の事だから現実にどこまで沿うものか?階級社会の警察でオペレーターはどのくらいの地位の方が担当するのでしょうか あんな現場に指示を細かく出して良いのか一人の方だけに長々と相手をして他の方の要望を後回しで切っちゃつたり何て良い訳なの非現実なこじつけ話
ワンセットもの。
僕は群像劇が大好物であるが、その次くらいに好きなのがワンセットものである。この両方を満たしているクローズド・サークルのミステリーはなによりも好きである。
それはさておき。
警察の救急センターのような部署。日本でいう110番のようなところ。ここに切羽詰まった女性から電話がかかってくる。どうやら拉致されたようだ。
ここでよく考えればストーリーラインは見えたかもしれない。
電話を受けたアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)はこの女性を救うことができるのか。
ワンセットものは成功すればかなり記憶に残る作品になる。
本作は、その記憶に残る作品になった。
電話だけが外部との連絡手段で、なのにストーリーが転がるという離れ業をやってのけている。
アスガーといっしょに呆然としてしまう瞬間があった。
グスタフ・モーラー監督は、徹底してワンセットにこだわっている。アスガーが抱えている問題に関しては、回想シーンがあってもいいところだが、それもない。
アメリカでリメイクされるようだが、ワンセットにはこだわってほしい。
素晴らしい作品であった。
サスペンスのアイデア
一つの部屋で繰り広げられる声だけのサスペンス。
デンマークのサンダンス映画祭出品作品。低予算映画のアイデアが詰まっています。この映画の舞台は、デンマークのコペンハーゲンの警察官の緊急通報司令室。1人の警察官が受けた1つの電話からサスペンスは始まります。しかし、カメラはその司令室から出ることはなく、電話を通して行われる会話のみを頼りにして事件解決に挑む。
まず、アイデア。もちろん誰もが考え付くようなシンプルでトリッキーなアイデアですが、それを長編映画のサスペンスへと作り上げたとこにものすごい価値がある。アイデアは思いつくことは簡単だが、それを誰もが理解できるレベルへと持ち上げることが最も難しい。
この作品がそれを可能にしたのは、素晴らしい脚本と、俳優さんたちの演技。電話の音声だけで全てを情報として伝えなければならず、まず”自然であること”、”伝えるべき情報を明確にすること”、それに加えて、”キャラクターの感情が伝わるようにすること”が絶対条件。それが90分続いたことが奇跡。脚本の会話部分と、声だけで感情を伝える声の演技が論理的にも芸術的にも優れていました。
それだけで終わらないのがこの作品のいいところ。主人公の警察官のアスガーのキャラクターの見えない部分がストーリーを動かしているからいい。アスガーは映画が始まってから自然ではない。何かを隠しているような気もすれば、周りは皆知っている何かを問題として抱えているような気もする。それが少しずつ階層的に明らかになって行くのだが、彼が抱える問題は明らかになるが、そこまでの経緯や、その問題とこの作品中のサスペンスとの直接的な関わりは明らかにされない。そこを視聴者が主体的につないでいくことで、エンディングの主人公の行動や感情に大きな衝撃を受ける。
ストーリーが事件を中心に進んで行く中で、自然なことと不自然なことが共存することによって。その不自然さがサスペンスとなりキャラクターとなって行く。それには自然であるべき所が、自然である必要がある。これがなんと難しいことか。
サスペンス映画は、単純なコンセプト、ストーリーでは埋もれてしまう時代。それを切り開く斬新なアイデア、革新的なテクノロジーに今後のインディー映画は向かって行くのだろう。
正義感の暴走
ヘッドセットの向こう側で展開される出来事を主人公側に立って一緒に考えながら観た。
異色の作品として記憶に残る一本。
終盤、電話がかかってきてるぞと隣の部屋の人から呼ばれて、そっちでとるよと言っていたが、そりゃそうだろうなパソコン自分でむっちゃくちゃにしてんだからな。
"聴"ド級!!
この映画は単品では完成しない。
観客の頭に寄生し、畏怖で締め上げる。
まさに衝撃作。
次々と牙をむく恐怖と焦燥に
じっとりと見つめる真実の眼光に
あなたは丸呑みにされるだろう。
巣穴の奥でひっそりと待ち構える"それ"から目を、いや耳をそらしてはいけない。
ヘビ
ちょっと思っとたんとちゃう…もっと緊張感のあるサスペンス色の強いものと思っとたんやけど、どちらかというと自分が犯した罪とこれから犯そうとしている罪を真摯に受け止めていくという人間ドラマって感じかな。しかし先入観ってこわい…
最後の電話
予告をみた時点で予想した特大ホームランとはいかなかったが、限定された設定の中で多面的なストーリーを作り上げている。
ストレートなサスペンスと思っていたら…どんでん返しを前振りにして、いつしか彼自身の問題と深く関連づける展開がうまい。
短縮でかける相手と、番号を見ながらキーを打ってかける相手ではプッシュ音のなり方が違うとか、そういうのも好き。
最後の電話は…まあそうなんだろうねえ。
再鑑賞。デンマークといえば…ラース・フォン・トリアーのイメージ。ヒドイ。地図を見直すとコペンハーゲンはスウェーデンと隣接してるのね。そりゃ関係も深いか。
シンプルさが美点でもあるので難しいところだけど、もう少し他の電話と関連させてもよかったかな。あと思っていた以上にアスガーがやな奴だった。それが逆にギャップになってクライマックスシーンが盛り上がったのでいいのだけど。あと電話の向こう側の音だけでなく、こちら側の静寂が非常に効果的に使われているのは見直して感心したところ。
最後の電話は最初の鑑賞時は直感的に「パトリシア」だと思った。見直して3つ可能性があるのかな、と思ったが、それでも初回と意見は変わらなかった。結局は「奥さんによろしく」して、ケジメというか懺悔というか決断を伝えないと前に進めなさそうだもの、アスガーは。それとラシードに最初にかけた時2回押してから1回(おそらく発信ボタン)でかけているが、ラストカットでは3回押してから1回押している。初回のかけ始めのシーンはカットが切り替わったとこなので、確定とはいえないが。というか最後の「きれいなアスガー」なら奥さん一択としか思えなかった。そんな余白が感じ取れるのも良かった。
アイディア勝負の低予算作品。
1年に1作くらいは出てくるアイディア勝負の低予算作品。
途中、主人公の暴走気味の指示とかに違和感を感じるけど、「ある意味、正義感が強い人物か。」
なぁんて思えたり。
右だと思わせて左だったなる展開も面白かった。
ただし、88分の作品にしては、やけに長く感じたのが残念。
完全に字幕慣れ+聴覚を試される作品なので、条件を満たさない人には作品の意図が通じないかと。
想像とは違ったが唯一無二の作品
かなり少人数のキャスト、殆ど音声だけで進行する、デンマーク発の低予算サスペンス映画。
もっとヒリヒリとしたミステリーを想像していたのだが、思いの外ミステリー要素が薄く、淡々と進んで行く。
決して重厚な作品ではなかったが、欲張らず90分に纏めた点は好感が持てる。短い作品ながらも、どんでん返しがきっちり2つも用意されており、ドラマ性もあって飽きさせない。
小粒ながらもエッジの効いた良い映画だった。
緊迫の88分。
ここまで集中して映画を見たのはいつ以来だろう。
救急対応するオペレーター。
電話先に聞こえるのは怯える女の声。
不整地を走るタイヤの音。
対話するオペレーターの表情"しか"見えない。
だからこそ、電話先の相手が置かれた状況や居場所を想像しながら推理していく。
一方行の情報だからこその先入観。
偏見による勘違い。
それらを巧みに絡め取っていく脚本が見事。
本当の"罪"とは何なのか?
見終えた後の脱力感と心地よさは、この映画ならではの体験だったと思う。
スクリーンで観れて良かった。
最後までじっと集中してしまった。目も話せないし、会話一つ一つを漏ら...
最後までじっと集中してしまった。目も話せないし、会話一つ一つを漏らさないように聴いてしまう。アスガーの響くような低い声が耳について、私の電話にも出てほしい…
ハラハラした
映画の間じゅう、電話だけで誘拐された被害者を救えるか、というハラハラドキドキ感に浸っているのだが、ある一瞬を境目にして、その前後で世界が完全に反転する、という経験ができる。
そして並行して、主人公の、ちょっと行き過ぎてしまう正義漢という性格もだんだんわかっていく。
この作りはなかなか優れていて、その性格は善悪の境目で非常に危ういものであることを、主人公の立場で、音(声か)だけの世界の中で、追体験できる。
おそらく、それがタイトルのギルティ(有罪)が指し示すことではないだろうか。
いやあ、楽しめました。ギリギリの線でイヤミスではなかったし。本当にギリギリだったけれど…
間を観る
そんな感じの映画でした。すごく良かったです。
警察の緊急通報司令室でオペレーターをするアスガーが主人公。
オペレーターとしての仕事を真面目に?こなし問題に対応していきますが、私物の携帯にかかってきた電話でアスガーも問題を抱えている事がわかります。
そんな問題を抱えたアスガーが受けた1本の通報が今作の主となるストーリーです。
この映画はオペレーターが外へ飛び出して事件に関与しているみたいな派手な展開はなく、司令室の中でのシーンだけで映画は構成されています。なので観ている人の想像で事件のシーンを展開していってほしいです。
個人的にはマチルデがオリバーの名前を呼ぶところが刺さりました。
そしてカット数やBGMが少ないので、臨場的にまるで映画の中に入ったかのようにヒリついた感覚で見れると思います。
タイトルでも「間を観る」と言っている通りセリフとセリフの間が長く、多いです。
でもテンポが遅いとか説明が少なくて分かりづらいとかは感じません。むしろその「間」に想像したシーンをまとめたり、アスガーの葛藤が観れるので演出として楽しめます。
手法もストーリーも結末も何をもって「罪」とするのかも全て楽しめました。とてもオススメの映画です。
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