劇場公開日 2020年7月24日

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「【1980年代前半、ソ連のレニングラードでロシアン・ロックンロールが誕生した背景を、西側ロックの名曲を効果的に散りばめ、”一夏の風景”に凝縮して描き出した作品。ロック好きには堪らない作品でもある。】」LETO レト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【1980年代前半、ソ連のレニングラードでロシアン・ロックンロールが誕生した背景を、西側ロックの名曲を効果的に散りばめ、”一夏の風景”に凝縮して描き出した作品。ロック好きには堪らない作品でもある。】

2020年9月13日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

 ー当時、人気を博していたバンド「ズーパーク」のリーダーであるマイクとその後、ロシアンロックを担うことになるヴィクトル(ユ・テオ:最初、”スマッシング・パンプキンズ”のジェームス・イハかと思った・・。)との出会い。

 彼の才能を見出したマイク。だがマイクの妻ナターシャ(イリーナ・ストラシェンバウム!!)とヴィクトルの間には恋心が・・。ー

■インパクトある、西側ロックを効果的に使った素晴らしきシーンの数々
 1.列車の中で、マイクたちに絡んできた社会主義思想に染まった老人・・
 「サイコ・キラー」”byトーキング・ヘッズ”が大音量で流れる中、繰り広げられる血みどろロック・オペラ。
 そして、狂言回しのメガネのインテリ風の若者が呟く・・。”フィクションだ・・”

 2.トロリーバスの中で「パッセンジャー」”Byイギー・ポップ”が大音量で流れる中、バスの乗客たちが歌い、踊るシーン。・・そして、”フィクションだ・・”

 3.妻ナターシャとヴィクトルの仲を案じるマイクが土砂降りの雨の中、寄り掛かった公衆電話ボックスの中で酔いのまわった女性が高らかに歌う、皮肉たっぷりの「パーフェクト・デイ」”Byルー・リード”

■少しの驚き
 ・当時のソ連での、ロック会場のシーン。観客はのっているが、パイプ椅子にキチンと座り、周囲には明らかにKGB関係と思われる男たちが険しい顔つきで立っている・・。
 ペレストロイカが目前に迫っていた時期とは言え、どのような形式にしても、ソ連でロックコンサートが許容されていた事に、正直驚いた。

■かなりの驚き
 ・ヴィクトルのアコギの歌声の素晴らしさ。更に彼が立ち上げたバンド「キノ」の曲のフォーク・ロック調の風合いの良さ。
 特に、ラストでヴィクトルが披露した「Derevo(The Tree)」とエンドロールで流れた「Konchitsya ”Leto”(Summer will End」は、沁みた・・。

<資料によると、この素晴らしき作品の監督は”反体制的な芸術活動”により、一時拘束され、今もロシア政府の監視下にあるとの事である。
 そう考えると、ロシアの不自由さが今作品で描かれた当時と比しても明らかに悪化しているのだろうか・・>

<2020年9月13日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU
kossyさんのコメント
2020年9月25日

ほんとうに観客はノリたいのに、踊りたいのに、という我慢を強いられてましたよね。
PAなどの音響も定期演奏会レベルだったのだと思います。
暴れたら逮捕ですよね・・・きっと。

kossy