劇場公開日 2019年6月14日

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「世界を理解するということ」旅のおわり世界のはじまり コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5世界を理解するということ

2019年6月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

スマホやネット情報など自分の世界に閉じこもり、海外に行っても人や街に心を開かず、「あー綺麗」と反射しかしない日本人観光客を見事に描写。
(あと、テレビのクソディレクター描写も見事。あれは監督も役者もよく観察して再現しているなぁと感心)
肌を露出しない国で、短パンで歩かせるなど、「観光客」らしさの強調がうまい。
行った国の人間(個人)や文化、歴史を理解しようとしなければ、単に「行っただけ」になる。

その単なる観光客でしかない「旅」を終えて、「世界」を改めて見るようになった姿を、感覚的に捉えさせてくれました。
その意味では、タイトルってネタバレじゃないの?と思わなくもない。

実は、こんな姿勢は日本にいても同じ。
自分の狭い尺度だけで「世の中が悪い」「自分が何をやりたいかわからない」などと言うだけで、他人や社会を理解しようとしないのは、子どもっぽい独りよがりでしかなく、本当の意味で大人になっていない、というメッセージを受け取った気がしました。

黒沢清監督の作品は、私の肌に合うなぁ。

ただ1点、ヤギのエピソードは、「1人頼りなく、あやうく登っていき、世界に向き合う自分」を重ねるためのものなのかもしれないが、十中八九、野犬や狼に殺されるから、あんまり好きな表現じゃなかった(群に寄せて放すか、放牧スタイルの畜産家に預けるならわかるけど)。

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コージィ日本犬