劇場公開日 2018年8月17日

「主人公に共感♪」ペンギン・ハイウェイ ポンチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5主人公に共感♪

2020年8月2日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

主人公の少年は、今までの映画にはあまりない人物像に思われます。
自信満々で(自信過剰か?)空気を読むことをよしとせず、トラブルを厭わないところがあります。妥協ナシ。理屈が合わなければテコでも動かない。そんなキャラクターが鼻につく人もいるかと思います。
しかしながら理不尽な学級内ヒエラルキーには絶対に服従しません。暴力を受けて自説を変える事など絶対に無い(ちなみに主人公の腕力および運動神経は皆無ですw)。そして何より、問題は必ず自分の手で解決できると信じて疑わない真っ直ぐさがあります。
この少年が仮に自分のクラスに居たとして、面白いと思うかウザいと思うかで、この映画の評価が別れるんだと思います。
ちなみにこの主人公は、少年時代の僕そのものです(笑)。あぁ、あの剛直さは何処へ…。

設定が荒唐無稽だったり、展開が唐突に感じられる部分もあるのですが、素敵なヒロインの「おねーさん」と、個人的思い入れたっぷりな主人公の活躍で、最後まで楽しく見る事ができました。
主人公にはぜひ、世界とおねーさんの謎を解明して欲しい…余韻の残る結末も良かったです。

一人の少年が、大人の女性に惹かれ、ひと夏の不思議な経験を通じて成長する…。この映画のメインテーマだと思います。
それとは別の、裏テーマとして「反知性主義へのアンチテーゼ」があるのではないかと…。「空気」「ヒエラルキー」「情緒」の世界に住むガキ大将と、主人公との対比に、それを感じました。
大人の世界でも「空気」「ヒエラルキー」「情緒」に訴える人物が多くなってきてませんかね?まるで「正義」や「理性」を感じられない人物も、チラホラ(笑)。

この主人公が真っ直ぐに育つような世界を残すのが、いまの大人の役割りではないかと感じました。

ポンチョ