劇場公開日 2018年10月19日

  • 予告編を見る

「思い出はいつも甘く美しい、でも思うだけにした方が良い...」ここは退屈迎えに来て ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5思い出はいつも甘く美しい、でも思うだけにした方が良い...

2018年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

事前に色々な方のレビューを拝見していたので、少し心配していたのですが、結論から言うと杞憂でした。一見掴み所が無い作品のようですが、個々のエピソードの詮索は横に置いて、作品全体を流れる情感・雰囲気に触れてみると、個人的に共感出来る部分が多く、楽しめました。橋本愛演じる「私」とその高校のクラスメイト達が主人公。高校卒業後、それぞれの道に進んだものの、結局30歳を目前にして今はみんな地元で冴えない生活を送っている。そんな彼らが、高校時代のクラス一の人気者だった椎名君との思い出を中心に昔を回想する物語。思い出は何故かいつも甘美なもの。辛かったり悲しかったことはすっかり抜け落ちて、美しく楽しかったことだけが残っている。だから、ちょっと今の生活に不足や不満を感じるようなことがあると、直ぐに昔の思い出に浸ってしまうのは人の常なのかも知れません。でもこの作品を観て感じたのは、思い出は思い出に留めておくのが良策だと言うこと。あれ程憧れていた椎名君との再会は「私」にとってこれ以上無い皮肉でした。年齢のせいか私も最近とみに同窓会のお誘いが増えてきたのですが、十分に肝に銘じておかねばと思いました。橋本愛さんは細身で少しギスギスした感もありましたが、引っ込み思案な「私」にぴったり合っていたように思います。「あたし」を演じた門脇麦さんもなかなかの好演でした。男勝りの役柄が続いているので、今度はもう少しフェミニンな彼女を観てみたいと思いました。

ホワイトベア
Koheiさんのコメント
2021年4月28日

門脇麦さんは「さよならくちびる」でも男勝りなミュージシャンを演じていますね。その一方、2021年公開「あのこは貴族」では、女子校育ちのお嬢様というこれまでのイメージとかけ離れたキャラクターを演じています。

Kohei