劇場公開日 2019年12月13日

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「時代の変わり目」カツベン! FMovさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時代の変わり目

2019年12月24日
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鑑賞方法:映画館

※プロではないため、内容間違っていたらご指摘ください。。(^^;

最初から最後まで賑やかな劇を見ているような、しかし細部まで徹底的にこだわり抜かれた、一大エンターテイメントだった。当時の「活動弁士(以降、弁士)」という仕事を仮想体験し、その歴史を具体的にイメージすることができる。

最初に主人公たちの子供時代が描かれるが、確か1910年代の半ばくらい。当時「映画」はまだ「活動写真」と呼ばれ、音がない映画に「声」という命を吹き込む弁士が大活躍した時代。老若男女問わず、人々はみな弁士の一言一句に夢中になって聞き入る。人気者は、歌舞伎役者みたいに「よっ、待ってました!」とかってはやされたりして。
当時は「映画を観に行こう」じゃなくて「写真を観に行こう」って言ってたのね。そこからもう衝撃。

そして「それから10年後」と話が飛ぶが、その時代はちょうど「発生映画」という、声がもともと入っている映画が海外で作られ始めたとき。この時点でもう「映画」って呼ばれていたみたい。「茶風鈴」と書いて「チャップリン」と呼ぶなど、海外の映画スターが輸入され人気を博していた。

それまで弁士たちは、自分の思うがままに台本をつくり、時には話を自分好みにずいぶんと変えてしまったりもしたが、ストーリーが既に出来上がっている「映画」たちが、次第に彼らを追い詰めていく。

彼らは、このまま弁士を続けるか、別の職業に転身するか、選択を迫られた。そしてそれぞれが、自分の思う道へ進んでいった。

他人事に思えなかった。今まさに私たちも、激しく渦巻く時代の変わり目に生きている。AIだのIoTだの技術の発達によって、自分達の仕事が、居場所が、いずれなくなってしまうのではと日々不安に思いながら生きている。

監督は私たちに「これからどうしたいのか?」と問いかけたかったのかも知れない。

古きを追い求めるもよし、新しきを探求するもよし。
どちらがよいかという答えはない。
ただただ、オリジナリティを発揮すべし、と自分なりに結論づけた。

ちなみに個人的には、とにかく主演の成田くんが癒し。ちょっと頼りないながらも頑張る姿に母性本能をくすぐられる。テレビでもしっかりさんまさんにいじられていた。

FMov