劇場公開日 2019年6月21日

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「ハイパー・ジーンには参った!」X-MEN:ダーク・フェニックス おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ハイパー・ジーンには参った!

2019年6月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

X-MENシリーズは1作目しか見てないのに、またもや予習なしで突撃してしまいましたが、ほとんど問題なく楽しむことができました。初心者にも優しい本作は、それだけでも好評価です。もちろんシリーズ全作鑑賞していれば、本作では描かれていない舞台背景や人間関係などもわかり、より楽しむことができるでしょう。

本作の売りはなんといっても、ミュータントの特殊能力を駆使した、荒唐無稽な異次元バトルだと思いますが、これが実に派手で小気味よかったです。加えて、それぞれのミュータントに個性を生かした見せ場が与えられていたのもよかったです。大がかりで迫力のあるCGと違って、俳優の演技と一体化させ、スピード感や重量感をもたせることで、登場人物に本当に特殊能力が備わっているかのように見せる演出がすばらしかったです。冒頭の自動車事故のシーンも圧巻で、こういったさまざまな映像表現を見るだけでも、劇場に足を運ぶ価値があると思います。

ストーリーは、劇場予告で見ての通りシンプルで、おまけに時系列に沿って展開してくれるので物語の背景をとらえやすく、誰でもすぐに作品世界に浸ることができます。そして、これがシリーズ初心者に対して敷居を低くすることにも貢献していると思います。

ただ、人物の心情にスポットを当ててみると、その変化にいささか納得できない人物が多く、展開が性急すぎたのではないかと感じる部分もありました。特に主人公ジーンが、チート級の強さのハイパーモードで、怒りにまかせて相手かまわず攻撃しているのには参りました。あれでは、能力ではなく感情を制御できていないだけで、とても共感できませんでした。バトルシーンを作るために無理に暴走させているかのように見えてしまったのは本当に残念でした。もう少しジーンの葛藤や苦悩を描き、能力を制御できなくなったのもやむなしと思わせてくれたら、さらによい作品になったのではないかと思います。あと、この騒動を経て、人間社会におけるミュータントの立場はどうなったのかも気になったので、そこも触れてほしかったです。

いろいろ書きましたが、SF娯楽大作としては十分におもしろいので、SF好きの方にはおすすめです。

おじゃる