劇場公開日 2018年9月22日

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「タイらしくなくてタイらしい映画」バッド・ジーニアス 危険な天才たち bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タイらしくなくてタイらしい映画

2018年11月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

クライムもの=タイらしくない
ネタが罪深くない(宗教的な意味で)&格差社会が根底=タイらしい

TVドラマ多作の国、タイは「早い展開」と「泣ける話」の中毒者の国です。日本もよその事言えないけど。タイ人が撮ると、こうなるよなぁ、と言う一本でしたが、ものすごく面白かった。

秀才のリンが犯罪者になるまでと、罪と向き合い、自分の弱さを乗り越えていこうと決意するまでの物語。志と目的がはっきりしている・緻密で計画的・組織化する・思考にブレが無い、と言う「悪の親玉」の特性を発揮するカンニング大作戦。個々のアイデアが目新しくて面白かった!

ちなみに、映画を見る上で知っておいた方が良いタイの特徴
*Bankの「K」は、日本人では普通聞き取れない。タイ人の発音する「R」「L」も同様。よって日本語表記は「バン」とすべき。会社の「Bank」を「バンク」と呼んでました、私も。ある日「バン」と呼んで欲しいと懇願された経験があります。
*学校名の最初の「クルンテープ」は「バンコク」の事。地名が最初に来るのは基本公立校のはずなのに授業料がどえらく高いのはおかしい。公立校に入学金はおかしい。
*タイ人には左利きと血液型Bが多い。リンもグレースも左利き。
*税制上・福祉上のメリットが無いことから、「入籍」しない人が多い。10年一緒に暮らしながら入籍していない、なんて普通。
*女性の方が良く仕事をする、と言っても過言ではない。外で女性が仕事をするのは当たり前だし、出世もする。逆に言うと、だらしない男が多い。女性校長は普通。
*上記の様な要素が重なり「母子家庭」が多い。「父子家庭」も珍しくない。
*日本の「相続税」に相当するものが無い。よって「金持ちは何時までも金持ち」。経済格差が固定化されやすい構造になっている。
*金持ちの子供が留学するのは当たり前だが、その辺で小さな商店を営んでいる店主の子女も留学していたりする。行先で良く聞くのはオーストラリアやシンガポール。アメリカに行くのが、ホントの金持ち。
*1バーツは概ね3円。あくまでも、これは為替レート。100万バーツあれば、現地生産の日本車フィットやデミオあたりが買える。バイクは5万バーツくらいからと安い。家賃や土地はピンキリなので比較は無意味。食料品は、日本なら¥5,000 分くらい買った気分になる、同じ感覚の買い物をタイですると、500バーツくらいにしかならない。

地方の悲しさですね。中央から二カ月遅れて鑑賞です。

bloodtrail