劇場公開日 2018年4月13日

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「寧ろ子供向け」名探偵コナン ゼロの執行人 KoQさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0寧ろ子供向け

2018年5月19日
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鑑賞方法:映画館

興奮

内容的にはさほど難しくはない。
小学生でも十分理解可能。
わからないであろう単語は作品内で説明がある。少なくともプラスチック爆弾がどういうものかとか、複雑な犯行トリックとか伏線が一気に繋がるとかは無い。
歴代映画の中でもかなり優しい部類。本編とは比べるまでもない。
社会科の教科書を映像化したような部分もある。

阿笠博士一行は明らかに航空法に違反してドローンを飛ばしているがツッコミはなし。『十字路』で服部がバイクで線路に入った時、コナンによる道交法に違反しているというツッコミがあったように違法なものは違法だ。という描写を行うのは大切な一線だと思う。

カタルシスを乱発させるのは作品として致命的ではないだろうか。
“あり得なさ”をいかにらしく見せるかがスタッフの手腕が光る部分だが、安室個人の格好良さを意識するあまり作品としての整合性の維持に失敗している。
安室自体も心情やアクションにクローズアップしすぎて“キレる頭脳”という安室最大の武器を描けていない。コナンに対しての、「流石だ」とか「そうか!」とか追従する場面が目立つ。せめて服部並の推理を披露して欲しかった。

犯人側にしろ味方側にしろ『日本』という言葉を多用する。愛国心を悪い物だとは思わないがひけらかすのは自己顕示欲が強いように見え、いかがなものかと思う。

シリアスな内容の筈なのにキャラクターや効果音がコミカルなのもミスマッチ。

モザイク画のような作品。
全体としては絵に見えなくも無いが見れば見るほどピースが違和感を放つ。ピース個々のサイズもまばらで所々接着剤がはみ出しているような。
相棒や残響のテロル、麒麟の翼等で見たようなシーンが入るのも監督や脚本家がそれらに関わっていたからだろう。
作品全体の雰囲気としては大衆向けかと聞かれれば首を縦には振れない。大衆に理解できる事とターゲットが大衆かどうかは全く別。好評価のほとんどが安室というキャラを目的にしている層であることからもわかると思う。

内容はシリアスだがキャラクターや効果音はギャグコメディー風でメインターゲットは安室ファン。アレコレ入れ過ぎて作品形成に失敗した典型例だろう。

視聴目的がキャラクターか作品かで評価が180度反転する。

好きなアイドルや俳優を目的にドラマや映画を見る人がいるがそれと似たようなもので、安室というキャラクターを見に来たのであれば満足できるだろう。
しかし、1つの『作品』を見に来たのであれば引っかかりが残るのは間違いない。

安室のアクションとBGMは悪く無い。

KoQ